2025年03月
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都市部道路の粉塵から検出したマイクロプラスチックを定量化 フィリピン

フィリピン科学技術省(DOST)は2月6日、ミンダナオ州立イリガン工科大学(MSU-IIT)の研究者らが、都市部の道路の粉塵からマイクロプラスチックを定量化し、その成分の特徴づけを行ったと発表した。研究成果は学術誌The Philippine Journal of Scienceに掲載された。

イリガン市内3か所のサンプリングステーションにクアドラットを設置する調査チーム

論文の筆頭著者であるジェロン・ベット・ビー・テハーノ(Jeron Bet B. Tejano)氏は、MSU-IIT修士課程の学生であり、DOSTの科学技術人材育成加速プログラム(ASTHRDP)の奨学生である。テハーノ氏は、道路の粉塵に含まれるマイクロプラスチックは、子どもや高齢者、呼吸器疾患を持つ人々など、抵抗力の弱い人々にとって健康リスクをもたらす可能性があると述べた。また、長期的な影響を完全に理解するためにはさらなる研究が必要であるものの、都市部のロードダストマイクロプラスチック(RDMP)には、健康リスクの懸念が高まっていると述べた。

この研究では、北ラナオ州イリガン市内の3か所がサンプリングステーションとして選定された。研究チームは、採取したサンプルを分析し、マイクロプラスチックを構成する高分子化合物がポリエステル(58.3%)、エチレンプロピレン(25%)、エチレン酢酸ビニル(8.3%)、ポリアクリルアミド(8.3%)であることを明らかにした。この研究は、道路の粉塵に含まれるマイクロプラスチックの直接的な証拠を提示した国内初の研究である。この研究結果は、フィリピンの都市部と農村部の両方でさらなる研究が必要であることを示唆した。

サンプリングステーションから採取されたロードダストのサンプル
(写真提供:いずれも筆頭著者ジェロン・ベット・ビー・テハーノ氏、出典:DOST)

テハーノ氏の指導を行うMSU-IITのエルナンド・P・バコサ(Hernando P. Bacosa)環境科学教授は、車両の摩耗や破損によるマイクロプラスチックの流出を最小限に抑えるため、道路やタイヤの素材を改良することが1つの方法であると述べた。また、廃棄物管理システムの強化は、プラスチックごみがマイクロプラスチックに分解されるのを防止するのに役立つとした。さらに、特定のプラスチック製品に対する規制措置は、道路の埃に含まれるマイクロプラスチックの発生源を制限することができるとする考えを示した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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