2024年04月
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最先端技術で中皮腫の早期発見、優秀研究者賞 豪UTS

豪シドニー工科大学(UTS)は、同大学で生物医学を研究するジアヤン・リャオ(Jiayan Liao)博士が、中皮腫の早期発見を可能にする最先端技術に対し、豪州の国立保健医療研究会議(NHMRC)の権威ある賞「Bernie Banton Investigator Grant Award」を受賞したことを発表した。3月28日付け。

AI作成のがん細胞イメージ図
(画像:Adobe Stock)

アスベスト被害者のための社会運動で知られるバーニー・バントン(Bernie Banton)氏の名を冠したこの賞は、健康・医療分野の研究者を対象にした助成金「Investigator Grant」の「Emerging Leadership」カテゴリの受給者のうち、中皮腫・石綿肺(アスベスト症)に関する研究を行う最も優れた研究者に贈られる。

リャオ博士の診断技術は、ナノテクノロジー、人工知能、光工学の最新技術を駆使して、バイオマーカーを1分子レベルで迅速に検出する。

「豪州はこのまれで破壊的ながんの罹患率が世界で最も高い国の1つ。最新の診断技術を用いて対策に貢献できることを誇りに思う」とリャオ博士は語る。また開発した技術について、「最先端のナノテクノロジーと人工知能の組み合わせにより、次世代の生物学的分析・画像診断ツールと、高感度の検出を可能にする先端技術を作り出すことができる。早期発見のための新たなツールを開発することで、患者に早期治療のためのより多くの選択肢を提供する」と述べた。

現在この技術は中皮腫の診断に利用されているが、今後、ほかのさまざまながんや疾患にも応用できる可能性がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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