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ボアオ・アジア・フォーラム(BOAO)2026開催

松田侑奈(JSTアジア・太平洋総合研究センター フェロー) 2026年04月02日

 ボアオ・アジア・フォーラム2026が 3月24日から3月27日にかけて、中国海南省・博鰲(ボアオ)で開催された。今年は中国の「第15次五カ年計画(十五五)」の初年度にあたるとともに、ボアオ・アジア・フォーラム設立25周年の節目の年でもある。また、海南自由貿易港が全島の関税をゼロにする「封関運営」を開始して以降、初めて開催される年次総会としても注目を集めた。

 今年のテーマは「共通の未来を創る:新たな情勢、新たな機会、新たな協力」。会期中は、分科会、対話会、円卓会議など50以上の会合が開催された。

アジア経済とエネルギー転換に関する報告

 24日の記者会見では、2つの旗艦報告書が発表された。

 アジア経済の見通しに関する報告では、アジア経済のGDPが世界経済に占める割合は、2025年の49.2%から2026年には49.7%へ上昇する見込みであり、アジアが引き続き世界経済成長の主要な原動力であると指摘された。特に中国とASEANは地域経済を安定させる役割を強めており、中国は多様な市場やグローバル・バリューチェーンを結びつける重要な役割を果たしているとした。

 持続可能な発展に関する報告では、アジアが世界のエネルギー転換を主導しており、毎年新たに導入されるクリーンエネルギー設備容量の約70%を占めていることが示された。中国のクリーンエネルギー設備容量は世界の約45%を占め、風力・太陽光発電の設備容量は2020年の5.3億kW(キロワット)から2025年には18.4億kWへと大幅に増加し、世界のエネルギー転換に大きく貢献しているとした。

海南自由貿易港の新たな動き

 海南自由貿易港の「封関運営」開始後、初めて開催された今回のフォーラムでは、自由貿易港の政策効果と産業発展も注目点となった。

 海口税関の統計によると、封関運営開始以から今年2月までの海南省内企業の貨物貿易輸出入総額は654.9億元に達し、前年同期比29.1%増となった。輸出は55.4%増、輸入は15.5%増で、今年1月、2月の対外貿易規模はいずれも過去最高を記録した。2018年に自由貿易港建設が発表された当時と比べると、封関後わずか2か月余りで当時の年間貿易額の約8割に相当する規模に達しており、政策効果が市場の活力へと急速に転化していることがうかがえる。

 産業面では、航空機整備産業や真珠加工産業などが新たな成長分野として注目されている。海南の航空機整備基地では、海外航空会社の機体整備や改造業務が増加しており、自由貿易港の免税制度や保税制度などの政策優遇が企業の競争力向上につながっている。航空部品の免税制度は、従来のポジティブリスト方式からネガティブリスト方式へ変更され、免税対象範囲が大幅に拡大した。

 また、真珠加工産業においても、輸入原料に対する関税・増値税・消費税の免除などの政策により、原料調達コストの低減と通関の迅速化が進み、産業の高度化と集積が進んでいる。

対外開放と国際協力への期待

 今回のフォーラムでは、「中国経済の展望」「投資中国、未来を共有」などの議題を通じて、中国の対外開放や投資機会に対する関心の高さも示された。出席した外国の政財界関係者からは、中国の技術革新、グリーン発展、高品質製造などの分野における発展に期待を示す声が多く聞かれた。

 また、不確実性が高まる国際情勢の中で、アジア地域、とりわけASEANを含む地域協力の重要性が改めて強調され、「共通の未来を創る」という今回のフォーラムのテーマの下、中国とアジア諸国の協力深化への期待が示された。

今回のフォーラムが示した方向性

 今回のボアオ・アジア・フォーラムでは、アジアが引き続き世界経済成長の中心的役割を担うこと、グリーン転換や技術革新が今後の成長の重要分野となること、そして中国の対外開放と海南自由貿易港をはじめとする新たな開放政策が国際協力と投資機会を拡大していくことなどが重要なメッセージとして示された。世界経済の不確実性が高まる中、地域協力の強化と開放型経済の推進を通じて、共通の発展を目指す姿勢が強調された形となった。

参考資料

 

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