中国、科技企業向け金融データの共通基準を策定
Science Portal China編集部 2026年08月07日
中国人民銀行は2026年7月、国家発展改革委員会、科学技術部、工業・情報化部など9部門と共同で、「科技金融分野におけるデータ開発・活用の強化に関する通知」を発表し、「全国科技金融分野データ開発・活用目録1.0」を公表した。本目録は、科技企業の評価に必要なデータを8分野・26指標に整理したもので、関係機関が共有・活用する際の全国共通の基準となる。
背景:技術力を示す情報が各機関に分散
これまで中国では、科技企業に関する情報が各省庁・機関に分散して管理されていた。例えば、ハイテク企業認定は科学技術・産業部門、特許は国家知識産権局、輸出入実績は税関総署、企業登記や経営情報は市場監督管理部門がそれぞれ保有しており、金融機関が企業の技術力や成長性を総合的に把握することは容易ではなかった。その結果、融資審査では売上高や担保など従来型の財務情報への依存が強く、研究開発投資や知的財産など、企業の技術的価値が十分に反映されにくいという課題があった。
8分野・26指標を全国共通基準として整備
今回公表された「目録1.0」は、①企業リスト・イノベーション属性、②輸出入、③投融資、④経営、⑤研究開発投資、⑥知的財産、⑦イノベーション能力評価、⑧企業ニーズの8分野で構成される。26の具体的な指標は明らかにされていないが、各部門・地方政府が同一基準でデータを整備・共有することで、金融機関は研究開発投資、特許、資金調達、輸出入実績などを横断的に活用できるようになる。
データ活用による科技金融の高度化
通知では、科技金融データベースの整備や「信頼性のあるデータ空間(可信数据空间)」の試行、地方政府によるデータ開放、民間信用調査機関による科技企業データベースの構築も推進する方針を示した。金融機関には、これらのデータを活用して科技企業のデジタル信用プロファイルを構築し、業種ごとのリスク評価モデルや資金需要に応じた金融商品を開発することが求められている。また、重点産業チェーンごとの資金循環を分析し、「一つの産業チェーンに一つの金融支援策(『一链一策』)」を講じることも盛り込まれた。
今後の注目点
今回の取り組みは、単なるデータ標準化ではなく、中国が推進するデータ要素市場化やデジタル金融政策の一環として位置付けられる。企業の財務情報だけでは把握しにくい技術力やイノベーション能力を可視化し、成長性の高い科技企業へ金融資源を効率的に配分する仕組みづくりが狙いだ。今後、地方政府によるデータ基盤の整備が進めば、科技企業への資金供給の円滑化や、中国のイノベーション支援政策の高度化につながる動向として注目される。
参考資料
- 中国政府網「九部门发⽂加强科技⾦融领域数据开发利⽤」
