中国科学院空間応用工程・技術センターは13日、ヒト人工胚の実験サンプルが11日に宇宙貨物船「天舟10号」により宇宙へ運ばれ、中国の宇宙ステーションの実験モジュールに設置され、実験が順調に進んでいると明らかにした。新華社が伝えた。
ヒト人工胚の実験が宇宙空間で行われるのは初めてとされる。ヒト人工胚の宇宙科学実験プロジェクト責任者である于楽謙氏は、「現在の実験は自動化システムにより管理されており、培養液は毎日更新されている。研究は、将来的な宇宙での長期滞在に伴う人の生存や生殖に関する基礎的な課題の解明を目的としている」と説明した。
人工胚は幹細胞から構成された、実際の胚に近い構造を持つモデルである。ただし、個体へと発生する能力はなく、人の初期発生を研究するための実験モデルとして用いられる。
今回の実験では、子宮細胞上で培養するモデルと、マイクロ流体チップ内で培養するモデルの2種類が使用されている。微小重力環境が胚の初期発生に与える影響を調べるのが目的で、同一条件のサンプルは地上でも並行して実験が行われている。
計画では、宇宙で約5日間の実験終了後、サンプルは軌道上で凍結保存され、適切なタイミングで地上へ回収される。その後、宇宙と地上の実験結果を比較し、宇宙環境が初期発生に与える要因の分析を進める。
研究チームは、この成果が将来的な長期宇宙滞在に伴うリスクの把握や対策の検討に役立つ可能性があるとしている。