2026年07月
トップ  > 韓国科学技術ニュース> 2026年07月

無細胞タンパク質合成を自動化、コスト95%減・性能5倍 韓国POSTECH

韓国の浦項工科大学(POSTECH)は6月24日、同大学の研究チームが、生きた細胞を使わずにタンパク質を生産する再構成型無細胞タンパク質合成システムを、自動で組み立てるモジュール型手法を開発したと発表した。研究成果は学術誌Trends in Biotechnologyに掲載された。

(出典:POSTECH)

研究を率いたのは、POSTECH化学工学科のイ・ジュング(Joongoo Lee)教授である。タンパク質は現代のバイオテクノロジーの中核を担うが、多数のタンパク質候補を大規模に生産することは、合成生物学者にとって大きなボトルネックとなっている。

無細胞タンパク質合成は、生きた細胞に頼らず、あらかじめ準備した翻訳装置に、作りたいタンパク質の設計図となるDNAを加えてタンパク質を作る仕組みである。しかし、すぐに使えるシステムを提供する業者は少なく、実験室で調製する場合も、実験者の技能に左右される手間と時間のかかる工程が必要だった。

研究チームは、主要構成要素の生産を生きた細胞の外へ移した。大腸菌ライセートに基づく無細胞タンパク質合成プラットフォームを使い、試験管内で翻訳因子を直接生産し、その工程を自動液体ハンドリングシステムと統合した。これにより手作業時間を減らし、作業工程を効率化するとともに、バッチごとの再現性を高めた。

このプラットフォームは、市販キットと比べて調製コストを95%削減し、無細胞タンパク質合成の性能を5倍に高め、調製時間を4日から2日に短縮した。さらに、実験に応じて個々の構成要素を追加・削除できるモジュール設計を持つ。研究チームはこの柔軟性を使い、非標準アミノ酸をペプチドやタンパク質に組み込むことにも成功した。薬物を抗体に結合させる抗体薬物複合体など、高付加価値治療薬の生物工学的開発に役立つ可能性がある。

この成果は、ロボット工学と人工知能(AI)を用いて多数の実験を設計、構築、試験し、学習する自動化インフラであるバイオファウンドリーにも関係する。同教授は「無細胞タンパク質合成を劇的に高速化し、低コスト化すると同時に、用途に応じて構成要素を自由にカスタマイズできる自動化プラットフォームを構築しました」と説明した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

  • アジア・太平洋総合研究センター
  • Science Japan
  • 客観日本
上へ戻る