台湾の国家科学及技術委員会(NSTC)は、NSTCの長期的な研究支援の下で学際的研究チームが、脳波を解析して歩行意図を読み取り、外骨格を制御する脳情報読み取り型AI駆動歩行リハビリテーションロボットを開発したと発表した。
世界的な高齢化の進行に伴い、脳卒中後や変性疾患による歩行機能低下への対応は重要な医療課題となっている。NSTCの支援を受け、台湾の中興大学(NCHU)、陽明交通大学(NYCU)、高雄医学大学(KMU)の研究者で構成されるチームは、10年にわたる共同研究を通じ、脳波を用いて歩行意図を読み取るリハビリテーションロボット「HopeStride」を開発した。
HopeStrideは、自動歩行補助、動的体重支持、外骨格、非侵襲型ワイヤレス脳コンピューターインターフェース(BCI)を統合したシステムである。脳信号を解析して運動意図を推定し、その結果に基づいて外骨格を駆動することで、安全かつ自然な歩行訓練を可能にする。立位保持、バランス訓練、歩行誘導、自然歩行、脳波駆動による歩行までを単一の装置で段階的に支援できる点が特徴だ。
従来のリハビリ機器は、身体を機械的に動かす受動的訓練が中心であり、脳活動の十分な活性化や脳と四肢の協調学習が難しいとされてきた。本システムでは、リハビリの初期・中期・後期に応じて訓練モードを切り替え、脳と身体の連動を重視した能動的訓練を行う設計となっている。
KMU附属中和記念病院のリハビリテーション部門で実施された臨床研究では、受動的な外骨格訓練群と、BCIを用いた意図駆動型外骨格訓練群を比較した。その結果、後者では下肢機能に加え、心肺持久力の改善も確認された。
NSTCは、制御工学分野の研究プロジェクトや国際若手研究者育成プログラムを通じて、本研究のような学際的なリハビリテーション技術の開発を支援してきた。研究チームは、2026年末までに50件以上の臨床検証を実施する計画を示しており、装置設計や臨床応用の改良を継続するとしている。
(2025年12月3日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部