台湾の中央研究院(Academia Sinica)は1月29日、研究者らが20量子ビット超伝導量子コンピューターの開発に成功したと発表した。

中央研究院が独自開発した次世代20量子ビット超伝導量子チップを発表
(出典:Academia Sinica)
量子コンピューターは高性能計算と人工知能(AI)を結びつける中核技術として、世界各国が研究開発を加速させている。同院は2023年に台湾初の国産5量子ビット超伝導量子コンピューターを開発し、2025年6月には8インチウエハー上で高品質な超伝導量子ビットの製造にも成功した。同時に、台湾初となる量子チップ製造研究開発プラットフォームと量子コンピューティング試験プラットフォームを整備している。
今回開発された20量子ビットシステムでは、量子ビット数の増加に伴う製造精度と均一性の課題に対応するため、半導体産業で培われた大型チップ製造技術と工程管理の知見を応用した。これにより、安定したマルチ量子ビット製造と量子ビット間の結合制御を実現し、計算変数空間を大きく拡張した。
チードン・チェン(ChiiDong Chen)特別研究員は、実用的な量子計算には高品質かつ多数の量子ビットが不可欠だと指摘する。研究チームは量子ビット周波数のレーザートリミング技術の開発やチップスタッキング技術の改良に取り組み、量子ビット間のクロストーク低減や制御・読み出し効率の向上を進めている。
技術面では、量子ビットのコヒーレンス時間(T1)を、従来の5量子ビットシステムでは15~30µ秒だったものを530µ秒へと大幅に延長した。重要問題研究センターのチュンティン・ケ(Chung-Ting Ke)准研究員は、超伝導量子ビットが電磁ノイズに極めて敏感である点を説明し、今回の成果が世界水準の製造能力を示すものだと述べている。
本研究は同院のグランドチャレンジプログラムおよび台湾の国家科学及技術委員会(NSTC)の量子技術プログラムの支援を受け、台湾の彰化師範大学、中央大学、中興大学などと連携して実施された。同院は2月4~6日に超伝導量子コンピューティングワークショップを開催し、20量子ビット機を実機公開する予定である。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部