台湾の陽明交通大学(NYCU)は2月3日、1月30日にNYCU、1月31日に台湾の亜東記念病院で「2026年エクソソーム、幹細胞、規制科学および革新的治療法に関する国際サミット」を開催し、人工多能性幹細胞(iPS細胞)療法や人工エクソソーム送達技術など次世代再生医療の最新動向を共有したと発表した。

「2026年エクソソーム、幹細胞、規制科学および革新的治療法に関する国際サミット」は1月30日にNYCU、1月31日に台湾の亜東記念病院で開催された
(出典:NYCU)
同サミットには欧州、米国、日本などの研究者が参加した。開会にあたり、薬学部のチーイン・ホアン(Chi-Ying Huang)学部長は、再生医療分野が実験段階から拡張可能な臨床応用段階へ移行していると指摘し、医学、薬学、工学を統合するNYCUの体制がその発展の中心にいると述べた。
日本のCiRA財団は、iPS細胞の臨床応用体制を紹介した。ノーベル賞受賞者山中伸弥氏の発見から20年を経て、日本ではHLA適合iPS細胞バンクや非統合型リプログラミング法を整備し、少数の細胞株で多数の患者に対応可能な仕組みを構築している。iPS細胞由来ニューロンを用いたパーキンソン病治療は規制当局の承認段階にあり、世界初の商用iPS細胞由来製品となることが期待される。
また、NYCUのリー・ジェームズ・リー(Ly James Lee)教授は、人工エクソソームを用いた遺伝子送達技術を発表した。ナノチャネルエレクトロポレーション(NEP)法により核酸の搭載効率を高め、脳や膵臓がんモデルで強力な腫瘍浸透および蓄積を実証したという。さらに、神経科学研究所のヤンフー・チェン(Yan-Fu Cheng)教授は、次世代AAVベクターとAIを活用し、内耳細胞への遺伝子導入により動物モデルで聴力と平衡機能を回復させたと報告した。
エクソソームは無細胞再生医療の基盤技術としても注目されており、幹細胞由来エクソソームがニューロンの保護や酸化ストレスの軽減をし、さらにドライアイ疾患や黄斑変性症モデルで組織修復を促進する結果も示された。
サミットでは、国際的な再生医療ネットワークにおける結節点としてNYCUの役割が拡大していることを示すものとなった。NYCUは工学、医学、規制科学を統合した他に類を見ないイノベーションチェーンを構築している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部