技術変化・地域貿易・資金調達を支える知的財産権の枠組みを検討 APEC

アジア太平洋経済協力(APEC)は3月11日、中国の広州で開催された第62回総会において、知的財産権専門家グループが、知的財産権の枠組みが、急速な技術変化への対応、地域貿易関係の深化、革新的な企業への資金調達機会の拡大にどのように役立つかの検討を行ったと発表した。

検討の中心となったテーマは、サプライチェーンが再構築され、デジタル貿易が拡大する中で、貿易協定における知的財産権に関する規定がどのように進化しているかという点だった。参加者は特許や著作権に関する規定を2国間協定や地域協定にどう組み込み、中小企業の海外市場参入をどのように支援しているかについて経験を共有した。

資金調達も主要議題となった。従来型の担保を持たない中小企業が多いことから、特許や商標を融資の担保として活用できる制度や、知財の価値評価手法、革新的企業向け金融サービスの整備事例が紹介された。

AIなどの新興技術への対応も議論された。各国・地域は、特許庁や著作権当局がデジタルツールを使って審査の迅速化や精度向上を進めている事例を示す一方、AI生成コンテンツや学習用データ利用がもたらす新たな課題も共有した。技術進歩が従来の規制モデルを上回る速度で進む中で、知的財産規則も適応していく必要があるという認識の高まりが反映されたものとなった。

法執行の面では、オンライン市場や越境電子商取引の拡大を踏まえ、偽造品対策、デジタル著作権侵害、企業秘密窃盗対策について検討した。行政、司法、税関当局の連携強化が消費者の信頼と公正な競争の基盤となると指摘された。

APEC知的財産権専門家グループ議長のマリア・グロリア・リートミュラー(María Gloria Riethmüller)氏は、アイデアやデータがモノよりも速く流通するグローバル経済において、知的財産政策は現状維持のままではいられず、知的財産制度が貿易、投資、イノベーションのための実用的なツールであると同時に、包括性と新技術への対応力を維持することが必要だと強調した。事業価値に占める無形資産の割合が増加するにつれ、知的財産政策がもはや単なる技術的な法的問題ではなく、アジア太平洋地域全体の貿易、イノベーション、そして包摂的な成長のための重要な推進力となっていることが示唆された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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