星形成ピーク期の分子ガス量が従来推定の約2倍の可能性 台湾・中央研究院

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は3月13日、中央研究院天文及天体物理学研究所(ASIAA)の研究者らが一酸化炭素(CO)と電離炭素([CII])の宇宙平均背景放射を初めて観測測定し、星形成が最も活発だった時代の分子ガス量が従来推定のほぼ2倍だった可能性を示したと発表した。研究成果は学術誌Nature Astronomyに掲載された。

(出典:いずれもAcademia Sinica)

宇宙では約100億年前に星形成がピークを迎えたが、その後なぜ減速したのかは長年の謎だった。従来の銀河観測では明るく大きな銀河しか捉えにくく、暗く小さな銀河に含まれるガス量を十分に把握できなかった。今回、ASIAAのイ・クアン・チャン(Yi-Kuan Chiang)博士は、宇宙全体に広がる微弱な背景光を捉える「線強度マッピング」を用い、一酸化炭素(CO)と電離炭素の平均的な放射強度の初の観測測定に成功した。

同博士は、プランク衛星、ハーシェル宇宙望遠鏡、赤外線天文衛星のデータを組み合わせ、宇宙規模の「ガス断層撮影」を実施した。COは星形成の原料となる分子ガス量を示し、電離炭素は星形成に伴う冷却過程を反映する。研究チームはCO信号の統計解析により、約120億年にわたる宇宙の分子ガス総量の変遷を再構築した。

その結果、星形成が最も盛んだった時期の銀河の分子ガス密度は、これまで考えられていたより大幅に多く、宇宙には想定以上に大きな「恒星の燃料貯蔵庫」があったことが示唆された。ガスが豊富なら星形成は速く進み、供給が減ると鈍化するため、宇宙全体の星形成史がガス供給量に大きく左右されていたことを示す証拠も得られた。今回の成果は、銀河成長や星の形成、宇宙全体における物質分布の理解を深めるとともに、宇宙の大規模構造や進化の歴史を探る新たな窓を開くものとなった。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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