ロケット技術を創傷治療に応用 殺菌と治癒促進を両立 台湾・陽明交通大学

台湾の陽明交通大学(NYCU)は4月7日、同大学の研究者らが航空宇宙用途で開発された低温プラズマ技術とマイクロ・ナノバブル技術を統合し、慢性創傷の殺菌と治癒促進を同時に実現する新たなシステムを開発したと発表した。

ジョンシン・ウー(Jong-Shinn Wu)教授と研究チームメンバー
(出典:NYCU)

本研究を主導したのは、台湾で「ロケットおじさん」として知られるNYCU機械工学科(ME)のジョンシン・ウー(Jong-Shinn Wu)教授である。同教授は台湾宇宙センター(TASA)の長官も務めており、航空宇宙分野で培った低温プラズマ技術を地上の医療分野へ応用した点が特徴である。

本技術は特許技術である「デュアルモジュール・プラズママイクロバブル水システム」と呼ばれ、感染制御と組織再生を組み合わせた二段階の治療機構を備える。第1段階ではオゾン(O3)などの酸素系活性種が病原体を抑制し、第2段階では一酸化窒素(NO)などの窒素系活性種が組織修復と再生を促進することで、感染制御と創傷治癒を同時に行う「ワンステップ」の処理を可能とする。

従来のプラズマ活性水は主に酸素系活性種に依存しており、高い殺菌効果を持つ一方で生体医療への応用には制限があった。これに対し研究チームは、酸素系と窒素系の活性種を同時に生成・制御するデュアルモード動的プラズマシステムを先駆的に開発し、用途に応じた活性成分の比率調整を可能にした。さらにマイクロ・ナノバブル水と統合することで、生体適合性と汎用性を備えたプラットフォームを実現した。

本技術は糖尿病性足潰瘍や褥瘡などの慢性創傷への応用に有望であるほか、皮膚科治療や美容医療、健康管理、食品や農産物の高度な殺菌処理など幅広い分野への展開が期待される。航空宇宙分野で培われた技術が創傷治療へと応用された点で、異分野融合による新たな展開を示す成果である。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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