自閉症における嗅皮質の重要な役割を明らかに 台湾NSTC

台湾の国家科学及技術委員会(NSTC)は4月15日、中央研究院(Academia Sinica)の研究者らが自閉症マウスモデルの全脳神経回路異常を解析し、「嗅皮質」の重要な役割を明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌Molecular Psychiatryに掲載された。

自閉スペクトラム症(ASD)は原因が極めて複雑であるが、神経回路の異常が共通する特徴である。中央研究院・分子生物学研究所のシュエ・イーピン(Yi-Ping Hsueh)特別研究員と同情報科学研究所のワン・チェンヤオ(Chien-Yao Wang)准研究員らの共同研究チームは、7年をかけてBM-auto(Brain Mapping with Auto-ROI correction)システムを開発した。

同システムは、マウス脳サンプル処理から全脳蛍光イメージング、スキャン、定量化までを行い、全脳にわたる軸索投射と神経活動を迅速に解析する。さらに、過去5年間の手動補正データと人工知能(AI)の深層学習を用いて自動脳領域識別機能を構築し、各マウス脳で500以上の脳領域を迅速かつ正確に解析可能とした。

研究チームは3種類の自閉症マウスモデルを解析し、米国のアレン脳科学研究所の正常マウスデータと統合して全脳コネクトームにおける異常をマッピングした。その結果、3モデルに共通して嗅皮質の特定の投射ニューロンが著しく減少していることが判明した。各モデルは匂いの検知能力は保持していたが、匂いの識別能力を失っていた。また、野生型マウスの嗅皮質の神経活動を抑制すると、社会的相互作用が低下した。

さらに、嗅皮質と他の脳領域の機能的結合を解析した結果、自閉症マウスモデルでは領域間結合が弱化していた。自閉症マウスでは、特定の匂い刺激に対する神経活動が嗅皮質を含む複数の脳領域で野生型マウスと比較して低かった。嗅皮質の異常は嗅覚機能だけでなく、他の脳領域との情報伝達や結合にも影響することが示された。BM-autoシステムは全脳解析を迅速かつ高精度に行う手法であり、自閉症研究および神経疾患解析への広範な応用可能性が示された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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