米国のスタンフォード大学ショレンスタインアジア太平洋研究センター(APARC)は6月24日、同センターのアジア健康政策プログラム(AHPP)がStanford Health AI Week期間中のウェビナーで、中国・シンガポール・韓国の専門家を招き、高齢者の健康な老いを支える医療・健康分野の人工知能(AI)の可能性について議論したことを発表した。
登壇したのはソウル大学(韓国)のキム・ホンス(Hongsoo Kim)教授、北京大学(中国)のマー・シャオチェン(Xiaochen Ma)助教、清華大学(同)のティエンイン・ウォン(Tien Yin Wong)副教務長。司会はAHPPのカレン・エグルストン(Karen Eggleston)所長が務めた。議論から得られた6つの教訓を紹介する。
- システム全体を捉えるアプローチ:AIが高齢者の異常を検知しても、介入するソーシャルワーカーや診療・紹介経路がなければ、医療・ケアシステムとしては機能しない。検知そのものより、システムが対応できるかが問われる。
- 「ケアの流れ」全体の解決:スクリーニング率の向上だけでは不十分で、治療に結びつかなければ意味がない。在宅での健康維持には、検査から治療まで臨床の全行程に対応する必要がある。
- 地域の業務フローとインセンティブとの整合:技術は現場の既存の業務に溶け込み、医療従事者のインセンティブと合致してこそ使われる。事務負担が増えるだけのツールは定着しない。
- 健康の公平性のための人間中心のAI設計:AIは多くのデータを生む層に適応しやすく、医療格差を広げる恐れがある。政府は公平なデータ網羅と使いやすさを義務づけ、最も脆弱な人々に役立つAIを設計する必要がある。
- 「ケアの流れ」全体の解決:スクリーニング率の向上だけでは不十分で、治療に結びつかなければ意味がない。在宅での健康維持には、検査から治療まで臨床の全行程に対応する必要がある。
- 技術的な新規性より実世界の成果の重視:実験室での検証ベンチマークより、死亡率や施設入所の減少といった実際の臨床的価値が重要だ。堅牢なヘルスAIを築くには、失敗した試験も公表・分析する必要がある。
AIは在宅での老いを支える大きな可能性を秘めるが、「エイジテック」だけでは高齢者ケアの危機は解決できない、というのが登壇者らの一致した見方だった。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部