アジア太平洋経済協力(APEC)は7月10日、APECビジネス諮問委員会(ABAC)がバンコクでの会合で、地域の経済的課題への対応に向けた経済界の提言となる「APEC首脳への2026年報告書」をまとめ、世界的な不確実性が高まるなか、開放性の維持、地域の連結性向上、官民協力の深化を通じてAPECが世界的なリーダーシップを示す機会に焦点を当てたと発表した。
ABACのリー・ファンロン(Li Fanrong)議長は、貿易・投資の開放的で予測可能な環境を維持しつつ、人工知能(AI)やデジタル経済、エネルギー転換がもたらす機会を活用するために各エコノミーが協力することが、地域の長期的な繁栄の鍵になると述べた。
「開放性・連結性・相乗効果」をテーマに、ABACは自由で開放的、公正かつ無差別で透明性と予測可能性のある貿易・投資へのコミットメントをAPECが再確認するよう提言する。アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けたビジネス主導の早期成果を進めるものだ。その一環として、食品貿易に影響する非関税障壁への対処、一貫したデジタル貿易ルール、女性の経済参画とリーダーシップを促す施策(任意参加の「ABAC同一賃金枠組み」の導入を含む)に新たに重点を置く。
連結性については、災害に強く低炭素な輸送インフラへの投資拡大、サプライチェーンの強靭化、ペーパーレス貿易の普及に向けた能力構築、航空分野の「オープンスカイ」課題の刷新、地域サプライチェーンの透明性向上、人的交流の拡大を提言する。官民協力の強化に向けては、革新的な官民パートナーシップを通じて、インフラやエネルギー、医療、水の安全保障、気候レジリエンスを支える民間投資の動員を求める。
さらにABACは、AIや量子技術といった先端技術の責任ある開発・展開を支えるイノベーション促進型のガバナンス枠組みを提言する。また、途上エコノミーや零細・中小企業がデジタル経済に十分参加できるよう、デジタルインフラや技能、資金へのアクセス確保を求める。報告書はこのほか、食料安全保障やエネルギー安全保障、パンデミックへの備え、災害レジリエンス、持続可能な鉱業開発での地域協力強化も提言する。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部