台湾の中央大学(NCU)は7月22日、NCUと米国のカリフォルニア大学アーバイン校の研究者らが、北西太平洋で4~5年にわたり持続し得る海洋熱波を支える大気の仕組みを特定し、主に地域の海洋・気象条件が原因だとする従来の見方に異議を唱える成果を発表した。研究成果は学術誌Science Advancesに掲載された。
研究は、NCU大気科学科のジンイー・ユー(Jin-Yi Yu)講座教授と、カリフォルニア大学アーバイン校のユー・ジャオ(Yu Zhao)博士課程研究者が主導した。北西太平洋の海洋熱波は世界で最も長く続く海洋温暖化現象の一つとされる。
チームによると、長期間続く海洋熱波は、ヨーロッパ、アジア、北太平洋、北大西洋を通って北半球を巡る大規模な大気波動パターン「Circumglobal Wave(CGW)」と密接に関係している。北西太平洋の海洋熱波は孤立した地域現象ではなく、テレコネクション(遠隔相関)によって結ばれた、海盆をまたぐ気候現象の一部だという。
150年以上の観測データ、43の気候モデルによるシミュレーション、大気モデル実験を用いた解析からは、海洋熱波の持続を助ける自己強化的なフィードバックも特定された。1970年代以降、夏季のCGW活動が強まったことで海盆間の相互作用が強化され、温暖化現象の持続期間が延びている。
この成果は、持続的な海洋熱波を理解する新たな枠組みを提供し、現象の持続期間の予測精度向上を通じて季節気候予測の改善につながる可能性がある。長期的な海洋温暖化の予測向上は、水産資源管理や海洋生態系の保全、温暖化が進む世界での気候適応を支える可能性がある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部