高齢者の体力の高さが死亡リスク61%低下と関連 台湾・陽明交通大学

台湾の陽明交通大学(NYCU)は8月19日、同大学などの研究チームが台湾の65歳以上1万3423人を追跡した研究で、総合的な体力が上位20%の人は下位20%の人に比べ、全死因死亡リスクが61%低かったと発表した。研究成果は学術誌JAMA Network Openに掲載された。

NYCU公衆衛生研究所のリーリン・リャン(Li-Lin Liang)准教授が、7年間にわたる本研究を実施した複数大学からなる研究チームを率いた。

本研究はNYCUを中心に、中原大学(Chung Yuan University)、台湾体育運動大学などの研究者が共同で実施した。2015~2016年に標準化された体力測定を受けた高齢者の健康記録を2022年末まで追跡した。追跡期間の中央値は7年で、1631人(12.2%)が死亡した。年齢、性別、社会経済的状況、身体活動、体格指数(BMI)、慢性疾患を考慮した後も、体力と死亡リスクの関連は有意だった。

参加者は心肺持久力、筋力、柔軟性、バランス・敏捷性の4領域にわたる7種類の機能的体力テストを受けた。2分間その場で足踏みする、腕のカール運動や椅子からの立ち上がりを繰り返す、座位で前方に手を伸ばす、背中の後ろで手を伸ばす、開眼片脚立ち、椅子から立ち上がって目印を回って戻り再び座るといった内容で、運動能力そのものより、支えなしで立つ、安全に歩く、バランスを保つといった日常生活に必要な能力を反映している。

生存との関連が最も強かったのはバランス・敏捷性で、次いで下肢筋力、心肺体力だった。椅子から立ち上がって8フィート歩き、方向転換して戻り着席する「8フィート・アップ・アンド・ゴー」テストでは、成績上位20%の人は下位20%と比べて死亡リスクが59%低かった。片脚立ちテストでは50%、椅子立ち上がりテストでは45%、2分間足踏みテストでは42%低かった。

バランス能力、移動能力、下肢筋力、心肺体力の成績が良好であることは、高齢者の死亡リスクが大幅に低いことと関連していた。
(出典:いずれもNYCU)

体力と死亡リスクの関係は必ずしも直線的ではなく、複数の測定項目で、最低水準を脱する際に死亡リスクが最も大きく低下し、高い水準では低下幅が横ばいになった。研究を主導したNYCU公衆衛生研究所のリーリン・リャン(Li-Lin Liang)准教授は、低水準から中程度へ体力を高めることが大きな効果をもたらす可能性を指摘した。一方、本研究は観察研究であり、体力の向上が直接寿命を延ばすことを証明するものではない。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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