台湾の陽明交通大学(NYCU)は8月25日、同大学と中央大学(NCU)、日本の近畿大学、茨城大学、大阪公立大学からなる日台5大学の研究コンソーシアムによる円偏光有機発光ダイオード(CP-OLED)の基盤技術開発プロジェクトが、日本台湾交流協会の2026年度共同研究助成事業(自然科学・応用科学分野)に採択されたと発表した。

次世代円偏光有機発光ダイオード(CP-OLED)に関する日台共同研究プロジェクトの概要図。光学分光と素子物理に強みを持つ日本側と、キラル材料・半導体技術に強みを持つ台湾側の専門性を組み合わせ、新たなCP-OLEDの設計開発を目指す。(提供:近畿大学)
(出典:NYCU)
プロジェクトの始動に当たり、9月1、2両日にNYCUとNCUで「2026年日台次世代円偏光発光技術合同シンポジウム」を開催する。日本側3大学の研究者と学生が最新の研究成果を発表するほか、若手研究者向けセッション、研究室見学、今後3年間の研究目標を調整する戦略会議も行われる。
本研究は、近畿大学の今井喜胤(Yoshitane Imai)教授、茨城大学の西川浩之(Hiroyuki Nishikawa)教授、大阪公立大学の八木繁幸(Shigeyuki Yagi)教授、NYCUのミンチア・リー(Ming-Chia Li)准教授、NCUのシャオファン・ワン(Hsiao-Fang Wang)助教授が共同で主導する。
円偏光(CPL)は、電場ベクトルが時計回りまたは反時計回りに回転しながら伝わる光である。強度と色に「回転方向」という新たな情報の次元を加えられるため、次世代ディスプレー、光通信、情報セキュリティー、3Dイメージング、バイオセンシングへの応用が期待される。CP-OLEDは電気エネルギーを直接CPLに変換する発光素子として注目される一方、実用化には高い発光効率と円偏光度の両立、材料の拡充、素子設計の柔軟性向上が課題となる。
プロジェクトでは、円偏光分光測定、磁場下での発光評価、有機EL素子の作製・評価に関する日本側の技術と、円偏光発光材料、高分子・半導体材料、自己組織化、材料構造解析に関する台湾側の技術を融合する。外部の磁場や電場で発光材料の電子状態と電子スピンに非対称性を生じさせ、可視光から近赤外光までの幅広い波長域に対応する高効率・高性能な円偏光発光材料と新たな素子原理の確立を目指す。
具体的には、磁場誘起円偏光発光(MCPL)、電場誘起円偏光発光(ECPL)、キラルな分子構造を通過する電子のスピンを選択するキラル誘起スピン選択性(CISS)効果に焦点を当てる。これらの原理を統合し、従来のキラル発光分子の限界を超える新たなCP-OLEDの開発を目指す。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部