酸素ボンベ用装置や3D装置...インドで最新の医療機器、続々開発

2021年9月7日 JSTシンガポール事務所

インドでは今春、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が爆発的に拡大し、医療の提供が危機に陥った。その窮地を救うように、新たな医療機器が次々に開発されている。

酸素ボンベを3倍長持ち

医療用酸素ボンベを3倍長持ちさせる酸素配給装置「AMLEX」を開発したのは、インド工科大学(IIT)ロパール校だ。

この装置は、必要な量の酸素を患者に供給することで、無駄になる酸素を節約できる特徴がある。通常、酸素ボンベの酸素は呼吸によって二酸化炭素(CO2)とともに出ていくため、大量の酸素の浪費も伴うことになる。また、呼吸の間に大量の酸素がマスクの開口部から出ていくため、これも無駄になる。インドではCOVID-19の第2波の際、医療用酸素の需要が急増したが、この装置なら酸素の浪費を防ぐことができる。同校のRajeev Ahuja(ラジブ・アフジャ)学長によれば、この装置は、ポータブル電源とライン電源(220V-50Hz)の両方で使えるとのことである。

新しい酸素配給装置を使用する患者

この装置の利点として、

  1. ① 酸素供給ラインと患者が着用するマスクの間に簡単に接続できる
  2. ② あらゆる環境条件でも使用者の呼吸を感知し正常に検出するセンサーを使用している
  3. ③ 複数の開口部を備えた市販の酸素療法マスクでも作動する

―ことが挙げられる。

多くの病院が酸素生産能力を増強しており、特に地方の保健センターで役立つことが期待されている。同校はこの装置の特許出願は行わず、国の利益のためにこの装置の大量生産に関心のある企業などに無料で技術移転する意向とのことだ。

呼吸中の肺の動きを画像化

インド工科大学(IIT)カンプール校は、がんの放射線療法を対象とし、呼吸中の人間の肺の動きを再現できる斬新で安価な3D装置を開発した。同校のAshish Dutta(アシシュ・ダッタ)教授らによるもので、この装置は患者が呼吸しているときの人間の肺の動きを画像化し、放射線が移動するターゲットに正しく焦点を合わせているかどうかを確認できるという。

装置のソフトウェア部分

具体的には、CTスキャナー内に配置され、治療中に照射される人間の肺の動きを画像化する。これにより照射中の患者と医療従事者の被曝を最小限に抑えながら、放射線治療の高品質の画像を得ることができる。 放射線が被験者に照射される前に、この装置によって腫瘍のみに焦点を合わせることができる。

装置の主要部分は、放射線の線量測定と画像デバイスを配置できる動的プラットフォームで構成される。このプラットフォームは3つの独立したモーターシステムを使用して、3Dで腫瘍の動きを模倣できる。プラットフォームは、放射線療法中に患者が横になるベッドに配置され、放射線装置からの放射線を移動する腫瘍に集中させる。装置に配置された検出器は、放射線が腫瘍に適切に照射されているかどうかを検出する。これにより放射線の投与量の有効性は治療中にチェックされる。

このような装置の製造はインドが初めてであり、さまざまなタイプの肺の動きを生成できる。この研究開発はインド科学技術庁(DST)や「Make in India」イニシアチブと連携して、現在、最終テストが行われている。実用化されれば、他の輸入製品よりも手頃な価格で販売される予定。

手頃な価格の除細動器

インド科学技術省傘下のバイオテクノロジー部門「DBT」は、手頃な価格の手動クランク式デュアルパワー(グリッド+手動クランク式)除細動器である「SanMitra 1000HCT」を開発した。DBTによって設立された非営利法人のバイオテクノロジー産業研究支援評議会(BIRAC)が資金提供するJeevtronics社との共同開発となった。

この装置は軽量で、電気が利用できない地域でも使用できる。AC電源とユニットに組み込まれた手動発電機の両方で作動し、バッテリーを交換する必要がないためだ。 この装置のバッテリーについて、別のスタートアップ企業でテストされ、それによって費用効果が高いと報告された。この装置は、都市や遠隔地にある病院に最適となる。また、この装置は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療にも有効である。

ISO13485認定企業であるJeevtronics社は、米国とインドで4つの特許を取得した。この装置は、医療の国際IEC規格に合わせて設計され、先のスタートアップ企業によれば、この装置の特許技術のコストは大手ブランド製品の4分の1で、販売価格も従来の数分の1になった。200台を超えるこの装置がすでにインドやアフリカに配備されたという。