インドの未来をかけ、水素エネルギー政策を強力推進

2021年9月24日 JSTシンガポール事務所

インド政府は2021年、グリーンエネルギーから水素を生成する「水素エネルギーミッション」をスタートさせた。 インドの未来をかけ、水素エネルギー政策を強力推進している。 政府の取り組みとして再生可能エネルギー省(MNRE)が、輸送セクター等を含む複数のセクターにわたるグリーン水素の生産と利用を拡大することを目的とした国家水素エネルギーミッション文書を作成した。 これに先立ち、2020年9月には道路交通省(MoRTH)が、自動車産業規格(AIS)157として水素燃料電池車自動車の安全性と型式承認の要件を指定し、水素とCNG(圧縮天然ガス)の配合自動車燃料も承認している。

水素自動車、次々開発

ミッションに沿って、インド政府の支援を受けたプロジェクトの下で、次のような水素自動車が次々に開発され、実装に移されている。

  • 6台の燃料電池バス(Tata Motors Ltd.による開発)
  • 50台のデリーの水素CNG(H-CNG)バス(Indian Oil Corporation Ltd.がデリーとデリー政府の共同開発)
  • 2台の水素燃料内燃エンジンバス(IITデリーとマヒンドラ社の共同開発)
  • 15台の水素燃料3輪車(IITデリーとマヒンドラ社の共同開発
  • 2台の水素ディーゼル燃料車(マヒンドラ社の開発)
  • 1台の燃料電池自動車(CSIR:科学産業研究委員会の国立化学研究所、中央電気化学研究所、国立物理研究所による共同開発)

水素と燃料電池プログラムを開始

インド科学技術庁(DST)は、水素の生産、流通、貯蔵のコストを削減し、経済的な水素生産に利用できる原料を多様化し、強化するための変革技術の開発を目的とした水素と燃料電池の研究を支援する「水素と燃料電池プログラム」を開始した。このプログラムは電力網の柔軟性、および低コストの水素の新しい使用による二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指しており、DSTはこのプログラムの下で水素に関する29のプロジェクトと2つのエネルギー貯蔵プラットフォームプロジェクトを支援している。

DSTは大量の新規および既存の材料、触媒、燃料電池等のコンポーネント、電解槽、水素貯蔵材料などの開発のための水素および燃料電池の研究を支援する「高度な水素および燃料電池プログラム」を始めた。DSTは水素製造と燃料電池に関するCenter of Excellenceの立ち上げも計画している。

再生可能エネルギー省(MNRE)も、水素および燃料電池の幅広い研究開発プログラムを支援している。 MNREは、ハイデラバードの粉末冶金新材料国際先端研究センター(ARCI)の研究開発プロジェクトを支援し、20kW低温高分子電解質膜燃料電池の設計と開発を行っている。

パイロットプロジェクト立ち上げ

さらに、電力省傘下のインド最大の統合発電会社であるNTPCは国際関心表明(EOI)を発表し、燃料電池ベースのバックアップ電源システムと、水素を使用した燃料電池ベースのマイクログリッドシステムの2つのパイロットプロジェクトを立ち上げた。 NTPCはプロジェクトを通じて、グリーンでクリーンな燃料の開発をさらに強化することを目指している。 天然ガスとの水素を混合するこのパイロットプロジェクトはインドで初めてのプロジェクトであり、インドの天然ガスの脱炭素化の実行可能性を探求する。 NTPCはインドの水素経済への移行において重要な役割を果たすことに熱心であり、将来はインド全体において商業規模で取り上げることを目指している。このパイロットプロジェクトが成功すれば、インド政府の輸入代替の目的とともに脱炭素化の目標達成にも貢献できる。

NTPCはまた、肥料業界を脱炭素化し、肥料および製油所セクターで一定の割合のグリーン水素を使用するという政府の今後の政策に対応してグリーンアンモニアの生産を熱心に模索している。 また、テランガナ州のラマガンダムでグリーンメタノール生産に関する詳細調査が完了しており、同社は近い将来に最終的な投資決定を行う予定である。