ワクチン・エネルギー・AIでベトナム、米、独と協力 インド、最新国際協力の動向

2021年11月9日 JSTシンガポール事務所

ベトナムのコロナワクチン候補を評価

インドは科学技術、医療等の分野で国際協力を積極的に進めている。ベトナム、米国、ドイツとの最新の協力事例について以下のように紹介する。

インドのDBT(バイオテクノロジー庁)とTranslational Health Science and Technology Institute (THSTI)社は、ベトナムの製薬会社であるNanogen Pharmaceutical Biotechnology JSC社と了解覚書(MoU)を締結して共同研究を開始する。9月23日に発表した。

覚書の調印式では両国の大使からインドとベトナムの二国間協力の強い結びつきについて言及された。本協力は、ベトナムのNanogen社によって開発された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン候補であるNanoCovaxの評価についてインド側が協力し、両国のワクチン研究に貢献する。DBTのレヌ・スワラップ(Renu Swarup)長官は、THSTI社の専門知識と設備をインドだけでなく国際的に活用したことを祝福するとともに、ワクチンと治療法の開発における研究者の努力に感謝の意を表明した。

米国とクリーン&グリーンエネルギーで

インドのジテンドラ・シン(Jitendra Singh)科学技術相は、クリーンおよびグリーンエネルギーの分野におけるインドと米国のより大きな協力を米国の代表団に呼びかけた。9月14日に発表した。

クリーンエネルギーはヘルスケアや農業セクターなどの分野での使用が期待されており、同相は、インドと米国はクリーンエネルギー部門に焦点を当てるために戦略的パートナーシップの内容を刷新すると述べた。

同相は、今後10年間でインドは現在の3倍以上の原子力発電を行い、2031年までには現在の6,780MWから22,480MWに達すると予想されていることを米国代表団に伝えた。これはインドでは今後多くの原子力発電所が計画されていることによる。

同相は、モディ首相の原子力エネルギーの合弁事業に関する独創的なアイデアに言及し、食品保存のためのガンマ線照射技術はすでに民間企業と共有されており、現在、26のガンマ線処理プラントが国内で民間稼働していると語った。同相はまた、がんや他の病気への手に届く治療を通じて人類の福祉を促進するために、医療用アイソトープを製造するための官民連携の研究用原子炉を建設する考えを表明した。

米国のエネルギー庁副長官であるデビッド・M・ターク(David M. Turk)氏は、原子力エネルギーには多くの補完性があり、米国がインドとの協力を深めることを保証した。同副長官はまた、グリーン水素セクターにおけるインドとのより深い協力についても約束した。また、気候変動と緩和に関連する問題も不可欠であると述べた。さらに両国は、米印ガスタスクフォースについても署名した。

さらに、同相は、科学技術と学界の交流プログラムにおける包括的な協力に言及し、米国が積極的に支援している「統合バイオ精製所」の立ち上げを提案した。今後の協力のための研究開発のいくつかの分野が特定され、インドは持続可能なバイオ燃料イノベーションの課題を積極的に共同で主導し、米国を含む他の諸国と緊密に連携して研究開発共同プロジェクトを資金提供により支援していくと述べた。

他方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対しては、米国-インド科学技術基金のCOVID-19助成金について、新しい早期診断テスト、抗ウイルス療法、人工呼吸器の研究、消毒機、センサーベースの症状追跡を含むソリューション等の11の二国間研究チームが受賞した。

また、同相は、二国間の人工知能(AI)イニシアチブにも言及し、このイニシアチブの目的は、両国に貴重な機会を提供することであり、科学・技術・社会のインターフェースにおける重要な分野でのAI協力に焦点を当てることにより、戦略的パートナーシップを強化すると指摘。そのうえでインドが独立から100周年になる次の25年間で科学技術が主導的な役割を果たすことを強調し、全ての技術革新の究極の目的は「国民の生活のしやすさ」をもたらすことであると表明した。

ドイツとはAI分野で協力

インド‐ドイツ科学技術センター(IGSTC)とドイツ連邦教育研究省(BMBF)が主催した人工知能(AI)に関するワークショップでは、持続可能性のためのAI、ヘルスケア、自律ロボティクス、信頼できるAIなどの分野について議論された。9月7日の発表で明らかになった。

IGSTCのインド側の共同議長であるDST(科学技術庁)S.K.ヴァーシュネイ(S.K.Varshney)国際部長と、ドイツ側の共同議長であるキャセリン(Katherin)女史は、社会を支援するAI、機械学習、ロボット工学の分野での両国間の協力を強化することを強調した。ドイツ側は、インドはAIの強力なパートナーであり、インドとドイツが協力して強化の努力する必要があると強調した。

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