インド政府は2月15日、インド国内の企業に対して同国内の地理空間データの収集と利用、公開を自由化すると発表した。これまでインド政府は、国内外を問わず全ての企業に対し、地理空間データを取得、公開する際には政府の認可を求めるよう義務づけてきた。今回の規制緩和の対象は国内企業のみで、地表および海中の地形、地理的境界、交通網、気象パターン、統計データ等を含めた地理空間データを特別な許可なく取得、加工、出版することが可能となる。
これについて同国のナレンドラ・モディ首相はツイッターで、インドでのビジネスをより容易にし、雇用を生み出し、経済成長を加速させる歴史的な規制緩和となるだろうと期待を表明した。政府によれば、地理空間データの自由化により、民間企業および公共事業の双方において農業や運輸、建設、インフラ、サービスなどの幅広い分野に恩恵がもたらされ、インドが目標とする5兆ドル(約545兆円)の国内総生産(GDP)と、経済的な自立の達成に貢献する見込みだという。これまでの規制下のインドでは、産業界は事業に必要な地理空間データを、外国の機関から高コストで輸入する必要があったためだ。
また、今回の規制緩和では、軍事上の機密情報など国家安全保障に係るデータの取得と利用は引き続き、規制対象となる。規制が継続されるデータのリストは、インド科学技術庁のウェブサイトで近日公開される予定。
英国の植民地であった19世紀に行われたインド大三角測量の時代から、Googleマップ全盛の現代まで過去200年以上にわたり、インドは測量および地図作成技術のトップランナーの一角にあった。今回の緩和により、ドローンやストリートビューなどを用いた精密な地理空間データが企業や市民に広く利用され、「マッピング革命」とも呼ぶべき新たなイノベーションにつながることが期待される。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部