2021年05月
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ガンジス川流域からのマイクロプラスチック、1日30億個流入。英研究者ら報告

インドのガンジス川・ブラマプトラ川・メグナ川流域からベンガル湾に流入するマイクロプラスチックの1日当たり最大30億個に達するとの研究が波紋を広げている。

Asian Scientist - 新たな研究によると、ベンガル湾にはガンジス川、ブラマプトラ川、メグナ川流域から毎日最大30億個のマイクロプラスチック粒子が流入しているという。この研究結果は、学術誌Environmental Pollutionに発表された。

ヒマラヤ山脈を水源としてベンガル湾に流れ込むガンジス川は、ヒンズー教の伝統の中で最も神聖な川であるだけでなく、世界で最も人が集まる川でもある。ブラマプトラ川、メグナ川とともに、6億5,500万人以上の居住者がガンジス川流域の水を利用している。

河川流域は、宗教と生活に関わる重要な場であるにもかかわらず、世界で最も汚染度の高い水路の一つとなっている。未処理の生活排水や工業排水が毎日排水路を通って河川に流れ込み、生活用水を河川に頼る人間や野生生物の生存を脅かしている。

2019年の2回にわたる派遣調査を経て、ナショナルジオグラフィック協会の「海洋から水源までのガンジス川探査」プロジェクトは、人間の生活の営みから生じたマイクロプラスチックの分布をガンジス川・ブラマプトラ川・メグナ川流域に沿ってマッピングした。この初の試みは英国プリマス大学の研究チームが主導し、インドの野生生物研究所やダッカ大学の研究者らが加わった。

モンスーン前(5月から6月)とモンスーン後(10月から12月)の時期に、研究者たちは川の水をメッシュフィルターに通し、含有粒子を調査するための120サンプルを採取した。サンプルは、ガンジス川の源流に最も近いハーシル村から、流域がベンガル湾に接するバングラデシュ南部のボラまで、10カ所で採取された。

研究チームは、モンスーン前のサンプルの71.6%、モンスーン後のサンプルの61.5%で、マイクロプラスチックを識別した。発見されたマイクロプラスチックの90%以上は繊維で、レーヨン (54%) とアクリル (24%) のような衣料品が豊富に含まれていた。

ボラの河口流域で採取されたモンスーン前のサンプルでは、ハーシルで採取されたサンプルに比べて4倍の粒子が含まれていた。一方、モンスーン後のサンプルでは、その量が2倍になっており、川沿いで生活する人が増えたことに伴う影響が反映されている。

予測されたマイクロプラスチック濃度と流量を組み合わせることで、研究者たちは、毎日10億から30億個のマイクロプラスチックが流域から排出されている可能性があると結論付けた。

「地球全体では、毎日約600億個のプラスチックが世界中の河川から海に排出されていますが、マイクロプラスチックの集積が河川の流れに沿ってどのように変化するかを詳細に解析したことはこれまでありませんでした。今回の結果は、ガンジス川・ブラマプトラ川・メグナ川流域や他の主要河川が、海洋のマイクロプラスチックにどのように関わっているのかを把握する第一歩となります」

論文の筆頭筆者であるプリマス大学のイモージェン・ナッパー(Imogen Napper)博士は研究の意義をこのように話した。

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