2021年06月
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2030年までに再生可能エネルギーで450 GWを発電 インド、水素の積極活用強調

インド科学技術庁(DST)の発表(5月11日)によると、在京インド大使館、DST、日本の地球環境戦略研究所(IGES)が日印ウェビナー「De-carbonisation: Exploring the Hydrogen Prospects and Innovative Technologies」を共同開催し、日印の科学者等が最新の技術や動向について議論した。

この中で、サンジェイ・クマール・ヴァルマ(Sanjay Kumar Verma)駐日インド大使は、「インドの総発電量の38%が再生可能エネルギーに基づいている」と述べた。大使は、現在、約136GWであり、来年までに175GW、2030年までに450GWを達成する目標であるとし、「水素は、この野心的な目標を達成する上でクリーンな燃料として重要な役割を果たす」と表明した。

大使はまた、「日本は基本的な水素戦略を策定した最初の国である。水素は日本の第5次エネルギー計画に含まれている。日本には研究開発と商業化のための優れたエコシステムがあり、両国の科学および商業コミュニティで使うことができる。インドと日本は戦略的関係を持っており、水素の利用に関する知識の共有を可能にする戦略的パートナーシップが期待される。インドと日本は、バイオ燃料から環境にやさしい水素を生産する分野で協力するために非常に良い関係にあり、この分野で両国が協力する可能性は非常に大きい」と強調した。

インド科学技術庁(DST)のアシュトーシュ・シャルマ(Ashutosh Sharma)長官も「再生可能エネルギーで2030年までに450GWの発電を達成する」との目標に言及し、「DSTは水素生産、流通、貯蔵のコストを削減し、バイオマス、農業廃棄物などの水素生産に利用できる原料を多様化する技術を開発するためのいくつかのプログラムを開始し、水から水素を生産する触媒の研究等の約30のプロジェクトを500万ドルで支援する」と述べた。

インドのエネルギー資源研究所(The Energy and Resources Institute:TERI)のヴィバ・ダワン(Vibha Dhawan)所長は「水素はインドの主要セクターで果たす潜在的な役割を持っている。将来の需要の規模を考えるとインドは水素を生産するための電解槽の製造に積極的に取り組む必要がある。各産業が協力して脱炭素化を促進し、リスクを共有し、個々の企業レベルでの負担を最小限に抑える必要がある」と述べた。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からは、水素社会とグリーン成長戦略を実現するためのNEDOのアプローチについて発表があった。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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