インドのケララ州立カリカット大学の研究者らを含む国際研究チームは5月3日、各種のがんに対する新しい治療法の開発に利用できる可能性がある化合物を、インド固有のウコンの根茎の中に発見したことを発表した。
研究チームは、石油エーテル、クロロホルム、アセトン、メタノールを用いて、インドケララ州西ガーツ山脈の固有種であるウコン(Curcuma mutabilis)の抽出を行った。そして、これらの抽出物に、ヒトの大腸がん、乳がん、血液がん、非小細胞肺がん、前立腺がんのがん細胞を暴露した。 その結果、いずれの抽出物もがん細胞の生存率を低下させることが判明した。
その中でも、石油エーテル抽出物はすべての種類のがん細胞に対して最大の毒性を示した。この抽出物は、がん細胞を細胞死させるだけでなく、がん細胞からコロニーを形成する能力を奪うという。次に、石油エーテル抽出物からCurcuma mutabilisエポキシド(Cmエポキシド)という化合物を単離し、この化合物ががん細胞の生存と移動に不可欠な遺伝子を抑制することを明らかにした。 石油エーテル抽出物とCmエポキシドは、ヒトの正常な血液細胞やマウスに対して毒性がないことから、新しいがん治療法を開発するための候補物質として有望であると研究者らは述べている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部