いくつかの小さな炎症性のタンパク質と、肝臓に蓄積した水分が、重症のデング熱感染の初期兆候である可能性を、インドのコルカタ熱帯研究所(Calcutta School of Tropical Medicine)の研究チームが発見した。
一部の小さなタンパク質と特定の肝酵素の量が、デング熱の軽症患者よりも重症患者の方が多いことを同研究所の科学者らは発見した。それらのタンパク質と酵素は、デング熱の重症患者と軽症患者とを見分けるバイオマーカーとして使える可能性があるという。
デング熱は蚊から伝染するウイルス性疾患である。デング熱ウイルスに対する抗体は、感染してから5日目から8日目まで検知されないことがある。ある特定のウイルス性タンパク質も軽症な感染ではごく早期に血液から消失し、診断を困難にする。
解決策を見つけるために科学者らは、97人の重症および軽症のデング熱感染患者らを調査した。そこで全ての患者のC反応性タンパク(CRP)・血清アミノイドPタンパク(SAP)・インターロイキン‐1β(ⅠL-1beta)という小さな炎症性タンパク質と、特定の肝酵素の血中濃度が測定された。重症患者におけるCRP・SAP・ⅠL-1betaの濃度が、軽症患者よりも高いことが分かった。また重症患者は特定の肝酵素濃度が高いことと、血小板の数が減少していることも検知した。
CRPとSAPの濃度の上昇が、デング熱感染最初期の数日間における重症度と関連があることが、このデータから明らかになったという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部