2021年07月
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水素利用技術でゼロエミッションの発電機開発 インドの研究者ら

発電用のディーゼル燃料の発電機は、主に一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、煙、粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOX)、二酸化炭素(CO2)を排出し、大気汚染をもたらす。この問題に取り組むために、インド工科大学(IIT)デリー校の非在来型燃料研究所(the Engines and Unconventional Fuels Laboratory)の研究者らは、Kirloskar Oil Engines Limited(KOEL)及びインド石油研究開発センターと共同で新たに「水素燃料点火発電機」を開発した。これはより高い熱効率のゼロエミッションのための発電機である。

環境に優しい「水素燃料点火発電機」

このプロジェクトは新・再生可能エネルギー省(MNRE)が主に資金提供し、KOEL社とインド石油研究開発センターも資金を出し、IITデリー校とKOEL社は、この技術の特許を共同で申請した。

この研究プロジェクトの主任研究員で、IITデリー校のエネルギー研究センターのK.A. サブラマニアン(Subramanian)教授は、「水素には炭素が含まれていないので、水素燃料エンジンは炭素化合物を排出しない」とその特徴を説明した。

同教授は水素について「製油所などの業界から有形の製品として入手できる。水素は、再生可能エネルギー(太陽、風力、バイオマスなど)と組み合わせた電解槽を使用して水の分解から生成することもできるので、余剰電力は電解槽で水素に変換し、電力のピーク負荷需要への対応や、短期間の送電網の利用不可時や緊急時などに必要に応じてこのエンジンで発電することができる。この技術は主な製品として水素を生産している業界に役立つものである」と述べた。

開発した水素エンジンは、産業やビルなどの分散型発電にも利用できる。したがって、持続可能なエネルギーと環境に配慮するための開発された技術を備えたこのエンジン発電機を使用して、水素によるグリーン電力を生産することができる。

サブラマニアン教授は、「将来、水素インフラストラクチャを開発して利用できるようになれば、ディーゼル発電機を発電用の水素発電機に置き換えられる。これにより特に都市部での大気汚染の抑制に役立てることができる」と期待を表明した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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