大きさに騙されてはいけない。インドの研究者によると、巨大ウイルスは細菌や小さなウイルスに比べて真核生物と近い関係にあることが判明した。
AsianScientist - インドの研究者らによると、巨大ウイルスは、時間の経過とともに遺伝子を放出する単細胞生物から出現した。彼らの発見は、科学誌Molecular Biology and Evolutionに掲載された。
世界中のウイルス学者にとって、2003年は特別な意味を持つ。コロナウイルスによるSARSがアジア全体に広がっただけでなく、最初の巨大ウイルスが発見された年でもあった。生物と非生物の境界線にまたがる病原体として、ウイルスは長い間、単純で小さな遺伝子コードの集合体と考えられていた。
しかし、新たに発見されたミミウイルスは異なっていた。100万を超える長さの塩基対にわたって1,000近くのタンパク質コード遺伝子を持ち、ミミウイルスのゲノムサイズと複雑さは小さな細菌に匹敵する。巨大ウイルスは人々が昔から持つウイルスのイメージと反するが、実際には水の中に広く存在し、単細胞の水生生物に感染して害をなす。
「これらの単細胞生物は海の炭素生産量に大きな影響を与えるため、巨大ウイルスは私たちの世界の生態系において重要な役割を果たしています。巨大ウイルスとその進化を研究することは、病気の原因となるウイルスを研究することと同じくらい重要です」
筆頭著者であるインド工科大学(IIT)ボンベイ校のキラン・コンダバギル(Kiran Kondabagil)博士はこう説明する。
巨大ウイルスがどのように発生したかを明らかにするために、コンダバギル教授と彼のIITボンベイ校の同僚であるスプリヤ・パティル(Supriya Patil)博士は、ミミウイルスの進化を取り巻く2つの主な理論のうちの1つを証明しようとした。
その1つが、還元仮説として知られている理論である。これは、巨大ウイルスが何年にもわたって遺伝子を放出する現代の単細胞生物から出現した。対照的に、ウイルス・ファースト仮説は、巨大ウイルスは遺伝子を獲得した細胞前生命体の遺物であると考える。
複製に関与するタンパク質の系統樹を作成することにより、2人は、ミミウイルス・タンパク質は原核生物や細菌、および小さなウイルスよりも、真核生物とかなり近い関係にあることを発見した。
コンダバギル教授とパティル博士は多次元尺度構成法と呼ばれる手法を使い、ミミウイルス・タンパク質の類似性も決定した。タンパク質が類似しているほど、それらが共進化した可能性は高い。これは、特定の機能のために、より大きなタンパク質複合体で一緒につながっていることを示すものである。
彼らの発見は、ミミウイルス・タンパク質は互いに非常に類似していることを示すものであった。研究者らは、DNA複製に関連する遺伝子が、有害な遺伝子変異体を浄化する自然淘汰の一種である純化淘汰を通過した可能性が高いことも示した。純化淘汰は、DNA複製などの必須機能に関与する遺伝子でしばしば観察される。
彼らの結論は、ミミウイルスDNA複製機構の古代の起源を示しており、そのような機構が単細胞の祖先にすでに存在していたという還元仮説を支持するものである。長い時間の間、巨大ウイルスは、祖先の不要な構造を取り除き、ゲノムの複製関連部分のみを残して形を作ってきた。
「私たちの調査結果は、地球上の生命がどのように進化したかを伝えるものであるため、非常にエキサイティングです。これらの巨大ウイルスは、おそらく単細胞の祖先が細菌、古細菌、真核生物に多様化する前から存在しているため、宿主である真核生物のその後の進化の軌跡に大きな影響を与えたはずです」(コンダバギル教授)
チームの研究は、科学的知識に貢献するだけでなく、遺伝子工学やナノテクノロジーなどの橋渡し研究に新たな扉を開く可能性もある。
最後にコンダバギル教授は次のように述べた。
「ウイルスが自分自身をコピーして自己集合を行うメカニズムの理解が深まるということは、これらのウイルスを改変することにより必要な遺伝子を複製したり、ウイルスの機能に基づいてナノボットを作成できたりする可能性があることを意味します。可能性はさらに広がります!」