2021年08月
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インドAI技術者の米国流入、両国にウィンウィンの利益 米アナリストが分析

米ジョージタウン大学の政策研究機関、安全保障・先端技術研究センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)のリサーチアナリストであるフサンジョット・チャハル(Husanjot Chahal)氏は、優秀なインド人技術者の米国への流入は両国にウィンウィンの利益をもたらし、両国の人工知能(AI)の戦略に極めて重要な役割を果たすとする記事を外交誌The Diplomatに発表した。投稿は6月21日付。

記事によると、米バイデン政権が立ち上げた国家AIイニシアチブ室(National Artificial Intelligence Initiative office)は、AIに関する米国の構想の実現に向け、同盟国やパートナー国との協力を重視している。民主主義的価値観が根付き、先端技術の責任ある開発と利用に取り組んでおり、AIに関する莫大な潜在能力を持つインドは、米国にとって重要な戦略パートナーである。両国は既にインド-米国科学技術フォーラム(Indo-U.S. Science and Technology Forum)を通じてAIに関するパートナーシップを締結する等、AIの研究開発における協力体制を構築し始めている。

インド国内の雇用やインフラ、高等教育機関が充実していないことから、工学関係の学士号・修士号を持つインド人技術者の多くが米国をはじめとする海外に移住している。

インド人技術者は既に、米国とインドのテック部門で重要な役割を果たしている。CSETのレポートによると、雑誌フォーブス(Forbes)が発表した2019年度の「米国の有望なAIスタートアップ50社(AI 50)」の創業者の11%をインドからの移民1世が占めるという。これらの企業は米国経済に貢献しているだけでなく、アウトソーシング、技術移転、投資機会等を通じてインド市場にも貢献している。

米国に移住するインド人技術者との関係を強化し、両国における彼らの挑戦を支援するには、インドの規制制度や契約執行に関する問題、米国のビザ制度等の問題を改善する必要がある。また、彼らを通じた国際共同研究も両国のAI技術の発展にとって重要である。

技術人材の移動に基づく米印の協力関係は、民主主義的価値観に基づくAIパートナーシップを築くための鍵となると、チャハル氏は分析している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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