インド工科大学グワハティ校の研究チームは、開発したモデルにより、金属の無秩序レベルを特定の値以上にすると、一度絶縁体となった後に再び金属状態または導電状態になることを示した。科学誌 nature india が8月17日に明らかにした。
今回、インド工科大学のサウラブ・バス (Saurabh Basu) 教授とタパン・ミシュラ (Tapan Mishra) 准教授を中心とする研究チームは、金属または導体の1次元二量体化格子モデルを開発した。金属は内部に不純物や欠陥などの無秩序要因があると、自由電子の流れが妨げられ、そのレベルがある臨界値を超えると、電子の流れが完全に止まり絶縁体になることがすでに知られている。
本研究では、モデルの無秩序レベルをさらに上げたときの動態に注目している。その結果、ある臨界値で電子の流れが止まり、一度絶縁体となった後、さらにレベルを上げると再び電子の流れが始まり、導電体に変わることを発見した。研究チームによると、このようにして完全金属でも完全絶縁体でもない臨界状態となったモデルは、無秩序レベルを上げる前の金属とは異なるものであり、金属−絶縁体転移に関する基本的な理解を覆すだけでなく、基礎物理学に関わる研究の新たな方向性を示すものであるという。
筆頭著者のシルピ・ロイ (Shilpi Roy) 博士は次のように述べている。
「この発見は、原理的には、絶対零度に近い温度と超低圧の原子が一次元格子内の電子の挙動を模倣する量子ガス実験でシミュレーションが可能です」
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部