2021年09月
トップ  > インド科学技術ニュース> 2021年09月

舗装工学・高度道路交通システムで道路交通省と連携 IITマドラス校

インド工科大学マドラス校(IITM)は8月17日、インド政府の道路交通省(MoRTH)と舗装工学および高度道路交通システムについて連携協力すると発表した。これには、輸送の安全性に加えて、新しい舗装材料と技術、水素セル(燃料電池)輸送や自動車両分類システム、新しい料金システム、インシデント管理システム、旅行者情報システム、FastTAGデータ分析(下記注)、交通シミュレーションに関する研究が含まれる。

これと関連し、講座を設置するための了解覚書(MoU)が同日開催のバーチャル会議で署名された。IITM土木工学科長のマヌ・サンタナム(Manu Santhanam)教授の立ち会いのもと、IITMのマヘシュ・パンチャグヌラ(Mahesh Panchagnula)教授、バスカー・ラマムルティ(Bhaskar Ramamurthi)教授、および道路交通省のインドレッシュ・パンデイ(Indresh Pandey)事務局長(道路開発局)、同ギリダール・アラマネ(Giridhar Aramane)長官が署名した。

今回のコラボレーションでは、道路交通省が選択した分野で、博士課程の研究プログムを行う。IITMは、道路交通省が指名するオフィサーを含む8〜10人の研究生に、高速道路工学分野の訓練を実施する。

講座を担当する教授は、次のような新材料や技術を含む舗装工学の研究開発活動を実施する。

  • コイアなどの生物由来の材料の利用
  • 再生コンクリートやアスファルト舗装などの代替骨材の利用
  • 高速道路の舗装に環境的に持続可能な材料の利用

必要な要件・資格を満たす道路交通省のオフィサーは、IITMの基準、推薦に従って、M.Tech.(工学修士)/MS(科学修士)およびPhD(博士)課程のプロジェクトにおいて、学生の共同スーパーバイザーとなることも可能とする。

教授らは、道路交通省、IITMおよび国内外の学術研究機関/業界間のコラボレーションを促進するファシリテーターとしても機能し、交通安全と運用効率を改善するための新技術、ITS(インテリジェント・トランスポート・システム)、リサイクル、機器と材料の評価と導入を支援する。さらに、インド道路会議の高速道路研究委員会に対し、研究開発分野の特定やモニターリングについて助言し、国の高速道路開発の大使として行動することになる。

関係者は次のようなコメントを発表した。

道路交通省のギリダール・アラマネ長官

「IITMは、汚染を削減する舗装工学技術と高度道路交通システムの開発に取り組む。我々はコンサルタントとしてIITMに関与し、このプログラム全体を通じて教授らと連携し、重要で革新的な研究開発作業を推進する」

IITMのバスカー・ラマムルティ教授

「IITMは、アプリケーション指向の研究を推進する。すでに舗装工学とインテリジェント輸送システムに積極的に取り組んでおり、得られたノウハウはすでに現場に到達している。我々の努力は、全国の高速道路での事故を減らしている。多くの優れた研究に取り組むことで、研究能力は強化された。IITMは興味深いプロジェクトに取り組み、その成果をシード化するのに最適なポジションにある」

IITM土木工学部長のマヌ・サンタナム教授

「IITMは、舗装材料と高度道路交通システムの分野で、間違いなく国内最高の研究グループを持っており、チェア教授職は、IITMに研究実践の機会を提供し、国のインフラ改善への大きな貢献を可能にする。道路交通省の持つ豊情なデータは、今回の調査研究の検証に役に立つ」

(注)FastTAGデータ分析は、インド国道庁(NHAI)が運営する電子料金収受システム。これに向けて、IITMに交通および高速道路工学の研究開発、教育、トレーニングに重点を置いた「道路交通省チェア(講座)」が開設され、この教授は、道路交通省と高速道路における道路交通省の戦略的アドバイザーとしての役割を果たす。また、道路交通省の標準&研究(S&R)部門と連携し、「交通および高速道路工学」の分野ニーズに基づいた研究も促進する。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る