2021年09月
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コロナによる酸素不足に対応、酸素生成システムを開発 インド理科大学院

インド理科大学院(Indian Institute of Science: IISc) の発表(8月26日付)によると、IIScの研究者らは 過去1年間、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で医療機関等での酸素不足を解決する機器の開発に取り組む中、酸素濃縮器と酸素生成システムの開発に成功した。

まず、酸素濃縮器は、IISc材料工学科のプラヴィーン・ラマムルティ(Praveen Ramamurthy)教授が率いるチームが独自に開発した。同チーム2020年3月から酸素濃縮器の研究を進め、同年8月に5リットル/分で93%以上、10リットル/分で82%以上の純度の酸素を生成できるプロトタイプを開発した。その後、この試作機に改良を加え、現在では10リットル/分で93±3%以上の純度の酸素を3分以内に供給できるように改善した。このシステムの安定性と性能は、8カ月以上にわたって継続的にモニターされ、臨床試験が終了し、このシステムは圧縮酸素ボンベと同等の性能を持つことが確認された。

この技術は、現在までに24社に技術移転され、約35台が各地の病院に納入された。カルナタカ州政府は、そのライセンスを受けた機関に対して、2,508の公衆衛生センターに各2台ずつ供給するよう通達を出した。

次に、病院のニーズに応えるもう一つのソリューションとして酸素生成システムが開発された。開発したのはアラシュディープ・シン(Arashdeep Singh)とアナンド・M・シバプジ(Anand M Shivapuji)の両研究員を含むIIScチームと、持続可能技術センターのS・ダサッパ(S Dasappa)教授らだ。このプロセスは、ツインベッドのスイング吸収システムをベースに、貯蔵容器と排出容器、各種の安全システムを統合したものである。また、ブーストポンプを用いたシリンダーファイリング機構を搭載したタイプもある。

このシステムで製造される酸素は、インド薬局方で定められた品質要件を満たしており、ICU(集中治療室)/CCU(冠動脈疾患集中治療室)/OT(作業療法)やその他の臨床病棟で使用することができる。7月にはベンガルール(カルナタカ州)のPobbathi Medical Centreにこのシステムが設置された。

IISc所長のランガラジャン(Rangarajan)教授は8月15日、容量50 リットル/分の医療用酸素生成システムのデザインをオープンソース化した。このプロジェクトは、IIM Kozhikodeの前所長であるクリシュナ・クマール(Krishna Kumar)教授の寛大な支援を受けており、同システムはラクナウ(UP州)のSt Mary's Polyclinicに設置される予定である。このシステムの特徴は、患者のベッドに酸素を供給するだけでなく、200気圧/47リットルのボンベを24時間以内に約10本充填することが可能なことだ。現在、このシステムをラクナウに出荷すべく準備中である。

また、病院のニーズに合わせて様々な容量(50~1000 リットル/分)の酸素生成システムを設置するために、IIScは国内の4つの機関と技術移転契約を締結した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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