2021年09月
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合体中の3つの超巨大ブラックホールを発見 印仏の研究チーム

インドとフランスの研究者らは、3つの銀河に存在する3つの超巨大ブラックホールが合体し、新たに発見された銀河の中心にあるコンパクトな領域で、通常よりもはるかに高い輝度を持つ「トリプル活動銀河核」(triple active galactic nucleus)を形成中であることを発見した。インド政府が8月27日に発表した。研究成果は学術誌Astronomy and Astrophysicsにレターとして掲載された。

今回の研究は、

  • ① インド初の宇宙観測衛星ASTROSATに搭載された紫外線撮像望遠鏡(UVIT)
  • ② チリの超大型望遠鏡VLTに搭載された欧州の積分磁場光学望遠鏡MUSE
  • ③ 南アフリカの光学望遠鏡(IRSF)の赤外線画像

-を用いて行われた。

インド天体物理学研究所(Indian Institute of Astrophysics: IIA)と、パリCollege de France(Chaire Galaxies et Cosmologie)の研究チームは、既知の相互作用銀河NGC7733とNGC7734のペアを研究中に、NGC7734の中心部から異常な放射を検出し、NGC7733の北腕に沿って大きく明るい塊を発見した。調査の結果、この塊はNGC7733とは異なる速度で動いていることが分かった。この塊はNGC7733の一部ではなく、腕の後ろにある小さな別の銀河であると判明し、この銀河はNGC7733Nと名付けられた。

赤外線画像(Infrared Image)より

また、紫外光(UV)とH-alpha線の画像からも、NGC7733Nがより大きな銀河と合体して形成された可能性のある潮汐の尾に沿って、星が形成されていることが分かり、第3の銀河の存在を裏付ける結果となった。これらの銀河は、それぞれの核に活動的な超巨大ブラックホールを抱えているため、非常に珍しいトリプルAGNシステムを形成している。

超巨大ブラックホールは、光を発しないため検出が困難だが、周囲の環境と相互作用することで、その存在を明らかにすることができる。周囲の塵やガスが超巨大ブラックホールに降り注ぐと、質量の一部はブラックホールに飲み込まれるが、一部はエネルギーに変換されて電磁波として放出され、ブラックホールが非常に明るく見える。これらは活動銀河核(active galactic nuclei:AGN)と呼ばれ、放出される膨大な量のイオン化した粒子とエネルギーは、最終的には銀河周辺の媒質の成長や銀河自体の進化に影響を与える。

研究者によると、銀河の進化に影響を与える大きな要因は、銀河同士の相互作用であり、このような銀河間の相互作用の際には、それぞれの超巨大ブラックホールがお互いに接近する。二重ブラックホールでは、周囲のガスの消費が始まり二重AGNが形成される。

2つの銀河が衝突すると、そのブラックホールも運動エネルギーを周囲のガスに伝えて接近する。ブラックホール同士の距離は時間とともに縮まり、1パーセク(3.26光年)程度になる。その後、2つのブラックホールは、さらに接近して合体するために、それ以上の運動エネルギーを失うことができなくなる。これは「最終パーセク問題」と呼ばれている。そこに第3のブラックホールが存在すると、この問題が解決される。合体中の2つのブラックホールは、そのエネルギーを第3のブラックホールに伝え、お互いに合体することが可能となるのである。

AGNのペアは過去に数多く検出されているが、トリプルAGNは非常に珍しく、X線観測で検出された例はこれまでわずかだった。しかし、このようなトリプルAGNシステムは、小さな合体中の銀河群に多く見られるだろうとIIAチームでは予想している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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