2021年10月
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神経伝達物質受容体が膜コレステロールレベルの変化を感知 インド研究者

インドの細胞・分子生物学センター(CSIR-CCMB)の研究者らは、神経伝達物質受容体が膜コレステロールレベルの変化を感知できると発表した。科学誌nature india が8月30日に掲載。論文は、科学誌 SCIENCE ADVANCE に発表された。

膜結合型タンパク質である神経伝達物質受容体は、神経系の細胞間コミュニケーションを補佐する役割を持つ。今回CCMBの研究者グループが、この種の受容体のうちのひとつが膜コレステロールレベルの変化を感知できることを発見した。特定のアミノ酸が受容体と膜コレステロールの結合を可能にし、受容体が膜コレステロールレベルの変化を感知できるようになるという。

これまでの研究では、膜コレステロールがセロトニン受容体ファミリーに属する受容体の機能を調節することは分かっていたが、具体的にどのようなメカニズムで受容体の働きを調節するかは理解されていなかった。

 

そこでこのメカニズムを理解するため、アミタバ・チャットパディエイ(Amitabha Chattopadhyay)教授が率いるCCMBの研究グループがセロトニン1A受容体をヒトの培養細胞で発現させたところ、受容体が特定の酵素の活動を抑制することにより環状アデノシン一リン酸(cAMP)のレベルを低下させることを発見。cAMPは細胞内シグナル伝達におけるセカンドメッセンジャーとして、グルコース代謝など体内の様々な機能を制御する。

しかし、培養細胞で膜コレステロールを欠乏させると、受容体の機能が阻害され、cAMPのレベルを減少させることができなかった。これは、膜コレステロールが受容体の機能を修正できることを示す。次にこのグループが受容体の符号化遺伝子で変異を誘導したところ、受容体のコレステロール結合サイトのアミノ酸が変化し、受容体が膜コレステロールに結合することができなくなった。

研究者グループは「コレステロールのレベルは年齢や病気によって変化するため、この感知機能は重要な発見だ。神経伝達物質受容体は薬剤のターゲットとして知られており、さらに効果的な薬剤の開発に貢献するだろう」と語る。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部