2021年10月
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太陽の内部回転プロファイルが変化する不思議な層を解明 インド

太陽の赤道が極点よりも速く回転していることは以前から知られていた。そこで、音波を使って太陽の内部回転を覗いてみると、太陽の回転プロファイルが急激に変化する興味深い層が存在することが分かった。この層は「表面近傍シアー層」(Near-Surface Shear Layer: NSSL)と呼ばれ、太陽表面のごく近傍に存在し、外側に向かって角速度が減少していることが分かっている。

インド科学技術省は、「インドの天文学者は、この層の存在を理論的に説明できることを初めて発見した」と発表した。2021年7月29日付。NSSLの解明は、黒点形成や太陽周期などの太陽現象を研究する上で非常に重要であり、他の星の現象を理解する上でも役立つことが期待される。

科学技術省傘下の研究機関でるAryabhatta Research Institute of Observational Sciences (ARIES)のビブティ・クマール・ジャ(Bibhuti Kumar Jha)研究員と、インド理科大学院(IISc)のアルナブ・ライ・チョウドリ(Arnab Rai Choudhuri)上級研究員は、太陽におけるNSSLの存在を初めて理論的に説明した。この研究成果は、英国王立天文学会の学術誌 Monthly Notices of the Royal Astronomical Society に掲載された。

この研究では、「熱風平衡方程式」と呼ばれる方程式を用い、熱風項と呼ばれる太陽の極と赤道の間のわずかな温度差が、太陽の差動回転によって現れる遠心力と釣り合うことを説明した。多くの科学者は、この条件は太陽の内部でのみ成立し、太陽表面付近では成立しないと考えているが、今回の研究で、それが太陽表面付近でも成立することが示された。

太陽表面付近でこの条件が成り立つのであれば、太陽振動学(音波を使って太陽の内部を覗く手法)に基づく観測で推測されるNSSLの存在を説明できるとしている。

CJha and Choudhuri (2021)の理論モデルに基づいて計算された太陽自転のプロファイル。黒の実線と赤の破線は、それぞれモデルと観測に基づく一定角の回転の輪郭
(インド政府発表より)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部