2021年10月
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「研究開発統計一覧2019-20」と「科学技術指標テーブル」公表 インドの研究開発費と科学出版物数が増加

インド科学技術庁(DST)の部局である国家科学技術管理情報システム(National Science and Technology Management Information System: NSTMIS)は、2018年の国家科学技術調査に基づく報告書として、「研究開発統計一覧2019-20」(R&D Statistics and Indicators 2019-20)、および「科学技術指標テーブル」(S&T Indicators Tables 2019-20)を作成し発表した。2021年3月付。

これらの報告書によると、インドの研究開発費は2008年から18年の間に政府部門を中心に3倍に増加し、科学出版物も増加しており、インドは国際的に見てもトップレベルの国であることが分かった。

また、米国立科学財団の(National Science Foundation:NSF)データベースによると、研究論文発表数は増加し世界第3位、また、自然科学・工学分野の博士号取得者数でも3位となっている。人口100万人あたりの研究者数も2000年から倍増したことが分かる。

報告書は、様々な産業連関の科学技術指標で国の研究開発状況を表やグラフで示している。これら指標は、国の研究開発投資、政府および民間部門の研究開発投資、研究開発と経済との関係、科学技術者の就学状況、研究開発に従事する人材、科学技術者の流出、論文発表、特許、およびそれらの国際的な科学技術比較に関するものである。

この調査は、中央政府、州政府、高等教育機関、公共部門産業、民間部門産業など、さまざまな分野の6800以上の科学技術機関を対象とし、90%以上の回答率を得た。

報告書の主な調査結果は以下の通りである。

研究開発への総支出3倍に

  • インドの研究開発に対する総支出(Gross expenditure on R&D: GERD)は、長年にわたって一貫して増加しており、2007~08年の3,943.777億ルピーから2017~18年には1兆1,382.503億ルピーへと約3倍になった。
  • インドの一人当たりの研究開発費は、2007~08年の29.2ドルから2017~18年には47.2ドルに増加した。
  • 2017~18年の研究開発費は、インドがGDPの0.7%を費やしているのに対し、他の発展途上のBRICS諸国では、ブラジル1.3%、ロシア連邦1.1%、中国2.1%、南アフリカ0.8%であった。

学外研究開発支援が大幅に増加

  • 2016~17年の国内の学外研究開発支援総額のうち、DSTが63%、DBTが14%を占めている。
  • 科学技術(S&T)分野で政府が実施した様々なイニシアチブにより、学外研究開発プロジェクトへの女性の参加は、2000~01年の13%から2016~17年には24%へと大幅に増加し、2018年4月1日時点で、国内の研究開発施設では約552千人が雇用されている。

人口100万人当たりの研究者数が倍増

  • インドの人口100万人当たりの研究者数は、2000年の110人、2015年の218人から、2017年には255人に増加した。
  • 2017~18年のインドの研究者1人あたりの研究開発費は購買力平価(PPP)ベースでは185(単位:1,000米ドル)で、ロシア、イスラエル、ハンガリー、スペイン、英国を上回っている。
  • 自然科学・工学(S&E)分野で授与される博士号の数では、インドは、米国(2016年39,710人)、中国(2015年34,440人)に次いで第3位を占めている。

科学論文の発表数、NSFデータベースで世界3位に

  • 2018年、NSF、SCOPUS(*)、SCIデータベース(*) による科学出版物のアウトプットにおいて、インドはそれぞれ3位、5位、9位となった。
  • 2011年から16年にかけて、SCOPUSとSCIデータベースによる科学出版物の成長率は、世界平均の1.9%と3.7%に対して、インドは8.4%と6.4%であった。
  • 世界の研究出版物に占めるインドの割合は、(出版物データベースに反映されているように)年々増加している。
  • (*) SCOPUS:エルゼビアが提供する抄録・引用文献データベース
  • (*) SCI(Science Citation Index):トムソン・ロイターが提供する文献の間の引用情報に関するデータベース

特許出願件数、世界7位に

  • 2017~18年、インドでは合計47,854件の特許が出願された。そのうち、15,550件(32%)はインドの居住者によるものだった。
  • インドで出願された特許は、機械、化学、コンピュータ/電子、通信などの分野が中心。世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization:WIPO)によると、インド特許庁は、世界の特許出願庁トップ10の中で第7位に位置している。

DST長官(当時:2021年8月退任)のアシュトシ・シャルマ教授(Prof. Ashutosh Sharma)は、次のように述べている。

「国のR&D指標の報告書は、高等教育、R&D活動・支援、知的財産、産業競争力におけるエビデンスに基づいた政策立案・計画を行う上で極めて重要な文書である。科学出版物の数で世界をリードするなど、研究開発の強みを示す基本的な指標に大きな進展が見られたことは心強いが、強化すべき懸念事項もある」

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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