インド科学技術省は、同国の研究者が、特殊なクラスの半導体ナノ結晶の大規模合成を可能にする方法を開発したと発表した。10月5日付。この研究成果は、科学誌 Journal of Physical Chemistry C に掲載された。
ナノ材料は、バルク材料と比較して、明るい発光を示すユニークな特性を持っており、発光ダイオード(LED)をはじめとする日常生活でのさまざまな用途に利用されている。一方で、このような材料の大規模合成は、反応機構や速度論が小規模合成とは異なることが多いため、大きな困難を伴うが、大規模な合成法は工業的応用のために必要不可欠である。
二次元層状ペロブスカイト(※1)およびペロブスカイト・ナノクリスタルと呼ばれるこれらのナノクリスタルは、明るい発光色を持ち、環境に影響されたり腐食されたりすることがないため、色純度の高さと低コストの溶液加工性の両方に優れている。
インド科学技術庁(DST)傘下の独立研究機関であるCentre for Nano and Soft Matter Sciences:CeNSの研究者グループは、大規模合成によく用いられるソノケミカルプロセス(※2)と呼ばれる方法で、2次元の層状ペロブスカイトおよびペロブスカイトナノ結晶を合成した。このプロセスは、強力な超音波を照射することで分子に化学反応を起こさせるソノケミストリーの原理を利用したものだ。
この研究チームは、このナノ材料が反応中にどのように成長するかを追跡し、また、時間や温度などの反応パラメータを制御して、ナノ材料の寸法や発光色を調整した。その結果、反応の初期段階では、2次元の層状ペロブスカイトが形成され、そのことでペロブスカイトナノ結晶の変化が制御可能となることを発見した。さらに、これらのペロブスカイトを混合した白色発光ダイオード(LED)のデモンストレーションも行うなど、これらナノ材料の安定性を高めるために、さらなる研究を進めている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部