2021年11月
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極小なRNA分子が雄性生殖能力に関連 インドの研究者ら発見

マウスを使った実験により、Y染色体にある特定のノンコーディング部を削除すると、精子の異常や雄性不稔を引き起こすことがインドの研究者らによって判明した。科学誌 nature india が9月30日に伝えた。研究論文は科学誌 BMC Biology に掲載された。

Y染色体は人類を含む哺乳類における2つの性染色体のうちの1つであり、特定のタンパク質をコード化する50から60の遺伝子が含まれる。大きな塊のこの染色体は、極小なノンコーディング分子を生み出すノンコーディング部を含んでいる。研究者らは、そのノンコ―ディング部を削除すると、精子の運動性に関連するいくつかの精子タンパク質の活動を妨げることを発見した。

今日まで、Y染色体のノンコーディング部の役割は明確にわかっていない。このことに焦点を当て、インド・ハイデラバードの細胞分子生物学センター(CCMB)の研究者らは、マウスの小さなノンコーディングRNAを作るY染色体のノンコーディング部を削除した。

レイチェル A・ジェスダサン(Rachel A.Jesudasan)氏率いる研究者らは、その削除が少なくとも8つの精子タンパク質の統制を失わせることを発見した。これらのタンパク質は、精子の運動性と構造統合、結果的に卵子への受精能力に関連する役割を持っている。

驚くことに、統制を失ったタンパク質に関わる遺伝子は、削除されたY染色体部ではなく、ほかの染色体(常染色体)に局在していた。研究者達は、削除されたY染色体部がノンコーディングRNAを形成することを突き止めた。このノンコーディングRNAは、生殖細胞のPiwiタンパク質と結合し、Y染色体以外の染色体にある特定の遺伝子を制御する複合体を形成する。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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