2021年11月
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高効率な室温水素貯蔵材料の開発に成功 インド工科大学

インド工科大学マドラス校(IITM)物理学科のサイ・スムルティ・サマンタレイ(Dr. Sai Smruti Samantaray)博士らは、マグネシウム-ニッケル合金をグラフェン支持体に付着させ、室温で優れた水素貯蔵特性が得られることを発見した。10月7日に発表した。

これまで水素貯蔵材料として、マグネシウム水素化物の利用が広く検討されてきた。重量水素貯蔵容量が大きく、可逆性に優れる一方、水素の吸着が緩慢で、貯蔵した水素を実用化するために必要な脱着温度が高いことが課題となっていた。

そこでサイ・スムルティ・サマンタレイ博士らは、マグネシウム-ニッケル合金ナノ粒子をグラフェン支持材に付着させ、グラフェンでできた支持材にホウ素と窒素をドープすることで、優れた水素吸着特性をもち、室温で水素を貯蔵できる材料を開発した。

グラフェンの支持材は、有効表面積を増加させ、材料中の活性材料上の酸化層の形成を防ぐことができる。ニッケルは、水素吸着を促進する効率的な触媒としてはたらき、マグネシウムの酸化物形成傾向を緩和する。

また、グラフェン支持体にホウ素と窒素をドープすることで、合金ナノ粒子をグラフェン支持体に強く均一に付着させることに成功した。この材料の等電点吸着熱を調べたところ、室温水素貯蔵材料に適していると規定される範囲にあった。窒素をドープした場合では、水素の吸着は最大であることがわかった。

インド工科大学ボンベイ校(IIT Bombay)エネルギー科学・工学部門のプラティバ・シャルマ(Pratibha Sharma教授は、マグネシウム系水素化物の最大の課題として脱離温度が高いことを挙げ、「今回の研究はこの課題を解決するもので、開発されたナノコンポジット(MgNi/G、MgNi/BG、MgNi/NG)は、室温での脱着を実証した。同時に、高い水素貯蔵能力も得られている。この実験結果は研究によって裏付けられており、基本的なメカニズムも非常によく説明されている。この研究は、水素貯蔵材料の研究にとって非常に有用で有益なものだ」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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