インドのジテンドラ・シン(Jitendra Singh)科学技術相は、同国北東部をインドのバイオ経済ハブとして開発すると明言した。10月19日発表した。
同相はインパールの「生物資源と持続可能な開発研究所(the Institute of Bio-resources and Sustainable Development: IBSD)」を訪れた際に表明した。同相によると、インドの東ヒマラヤ地域は生物多様性の豊富な地域であり、世界の34の生物多様性の重要地域の1つでもあるという。同相は、これらの貴重な遺伝資源はバイオテクノロジーを通じて、北東地域の経済成長と国家のために活用する必要があると強調した。
インドのモディ政権の政策により、インドは2025年までに世界のバイオ製造拠点として、世界の上位5か国に入り、インドのバイオ経済は2025年までに現在の700億ドルから1500億ドルの目標の達成を目指すという。
同相は、モディ首相の指示により、DBT(バイオテクノロジー庁)がインドの北東部の豊富な植物・動物・微生物資源等に対するバイオテクノロジー研究を実施する能力を構築するために極めて重要な役割を果たしていると述べた。IBSDは、最先端の設備を備えた地域の卓越したセンターになるだけでなく、人々の福祉のための雇用創出に向けた技術パッケージを生み出すべきであり、IBSDは人々を中心とし、その仕事を通じて人々の信頼を勝ち取るために革新的なアプローチを行うものであるという。
また、IBSDは、技術・製品・プロセスの研究の応用と商業化のためのセンターとして機能し、北東地域全体に幸福をもたらすために、地域の豊富な生物資源に基づく企業の設立を促進するべきであると同相は指摘した。
DBTが資金提供するIBSDの植物医薬品ラボ施設が北東部地域の植物医薬品ミッションを推進している。伝統的な医療慣行の文書化・科学的検証・評価を促進することを目的としたこのミッションは重要なステップであり、北東部の多様な植物資源と多様な伝統的医療慣行をつなぐ特別な重要性を持ち、地域の生物資源を活用した製品・プロセス・技術の開発における革新的アプローチは、地域の社会経済的発展につながる伝統的な知識をベースにした治療薬の開発に役立つだけでなく、伝統的な医療従事者にも利益をもたらすと同相は述べた。
また、高品質の植栽材料を使用した持続可能な農業技術によるイチゴ栽培の苗木の農民への配布計画や他の果物への同様のアプローチについても紹介し、地域で少なくとも1,000人の農民の能力を構築することを目標としている。DBTは、アッサム農業大学(Assam Agricultural University:AAU)にBiotech-KISANハブを設立し、改良品種がマニプール地方の農家に配布されるという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部