2021年11月
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高所得世帯が大気汚染を生み出し、低所得者が健康被害 インドで調査

インドの低所得世帯は高所得世帯よりも大気汚染による若年死亡のリスクが大幅に高い。

AsianScientist -インドのほとんどの大気汚染を生み出しているのは高所得世帯であるが、健康への被害を最も受けているのは低所得者層であるという調査結果が学術誌 Nature Sustainability に掲載された。

工場のスモッグから細かい粉塵まで、排出量は世界中で急増している。世界で最も汚染度の高い30都市のうち22都市はインドにある。 大気汚染は地球温暖化を悪化させるだけでなく、健康に深刻な脅威をもたらす。

工業製品製造によるものであろうと家庭からの排出であろうと、インドの都市を覆っているスモッグのほとんどは微小粒子状物質 (PM2.5) である。この粒子の直径は小さく 2.5マイクロメートル未満、髪の毛のわずか3%である。

PM2.5の濃度が高いと空気を濁らせ、心臓疾患や肺疾患、認知障害に関わってくる。また、若年死亡のリスクが高まり、インドでは有害な空気により年間100万人近くの人々が亡くなっている。

研究者はこれらの健康への影響を綿密に調査してはいるが、大気汚染の影響を受けた人々の背景についてはほとんどわかっていない。この問題を解決するために、オーストリアの国際応用システム分析研究所のチームは、さまざまな所得層の世帯から出るPM2.5汚染とそれに対応する死亡リスクを定量化した。

燃料燃焼などの排出量データを分析したことにより、消費者製品製造などの間接的排出源は、家庭の調理用コンロから出る直接的排出量の2倍の大気汚染を引き起こしていることがわかった。

チームのモデルによると、汚染の多くは高所得世帯によるものだった。一般的に言って、世帯所得が高くなればなるほど移動は頻繁になり、工業製品の購入は増え、排出量は増加する。

しかし、驚かせたのは、低所得世帯は高所得世帯よりも有害な空気に対して脆弱であることだった。インド人のうち、最も貧しい10%は PM2.5汚染への曝露が大きいため、最も裕福な10%よりも弱年死亡のリスクが9倍高かった。

研究者らは、間接的排出量を削減するには産業界全体の汚染管理が重要であろうと述べる。これに加えて、調理用燃料をクリーンなものに替えることで、家庭の排出量を削減し、若年死のリスクを10分の1に減らすことができる。

著者らは最後に「次に打つ手があるとすれば、将来において立てられるかもしれない大気質政策が、さまざまな社会経済的状況の中で公平に影響する能力があるか否かを検証する積極的なアプローチを開発することでしょう。燃料転換やエネルギー効率対策などといった大気汚染防止策を追加すれば、調査に役立つ可能性があります」と語った。

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