ある研究は、インドで大型猫の神を崇拝する人々がヒョウと空間を共有する方法をどのように作っているかを考証し、保護に関する新しい考え方を伝えている。
AsianScientist - 猫を飼っている人なら誰でも共感できると思うが、飼い猫を十分敬愛していれば、夜中に起こされたり、高価な家具に傷をつけられたりしても、その独特の行動を我慢することができる。野生生物保護協会のインド支部が行った新しい研究によると、我々と大型猫との関係にも当てはまることが分かった。
Frontiers in Conservation Scienc 誌の特集号で発表されたこの研究は、大型猫を崇拝することで人間とヒョウの共存が容易になるとしている。研究者らは、インドのマハラシュトラ州に昔から住んでいるワルリ族のコミュニティについて調査した。ワルリ族はワゴバと呼ばれる大型猫の古代の神を崇拝しており、また、何世紀にもわたってヒョウと共存してきた。人々は長い間野生生物と空間を共有し、野生生物に対する信仰を持ってきたが、保存科学がこのような背景で人間と野生生物の相互作用を研究し始めたのは比較的最近のことである。
「この研究では、神だけでなく『ワゴバの社会慣習』をテーマとして検討し、ワゴバ崇拝に見られる多層的かつ相互関連的な特徴と、宗教、政治、血族の側面を含めて人間とヒョウの関係を探りました」と研究者らは指摘する。
研究者らは、インド・マハラシュトラ州のムンバイ郊外、パルガル、セイン地区でのワゴバ神殿と礼拝儀式を記録する一方、ワルリ族の人々にインタビューし、観察を行った。
ヒョウは家畜や人間に脅威を与える。だが研究者たちは、ワゴバを崇拝する人々は自分たちのスペースを大型猫と共有することにあまり否定的ではないことを発見した。ワルリ族は神との相互関係を信じており、ワゴバを崇拝し、特に毎年恒例のワゴバ祭りで儀式を続けている限り、ワゴバは大型猫、病気、災害から人々を守っていると考えている。
この発見は現在の野生生物保護活動に影響を与えると研究者たちは考えている。つまり、伝統的な宗教によって形作られた関係があることから、地域社会と空間を共有する野生生物との個別の関係を検討するよりも、一律的な保護戦略を環境全体に展開するよう考えなおす必要性が強調される。
「この研究の主な目的は、人間と野生生物の相互作用を理解し、アプローチ方法を多様化することです。これは、共存に役立っている現地の慣習が、紛争を回避するものではなく、発生した紛争を交渉する役割を持っていると明らかにすることで実現できます」
野生生物保護協会の研究者であり筆頭著者のラミア・ネア (Ramya Nair) 氏はこのように話している。