2021年12月
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体のストレスマーカーを検出するナノマテリアル製センサーを開発 インド

インド・チャンディーガルにある科学産業研究委員会(Central Scientific Instruments Organisation:CSIR)の研究者らは、コルチゾールを検出できる高感度センサーを作製した。このセンサーは人間のストレスモニタリングに利用できる可能性がある。科学誌 nature india が11月24日に伝えた。

コルチゾールはストレスのバイオマーカーとして使われるステロイドホルモンであり、体液中の濃度は極めて低い。既存のセンサーでは、コルチゾールレベルの検出は複雑で時間がかかる。そこで研究者らは、より使いやすいセンサーを設計した。

研究チームは、クエン酸を加熱し水酸化ナトリウム溶液で処理することにより、グラフェン量子ドットを合成した。この量子ドットを電極の上に塗布し、コルチゾール分子に結合する一本鎖の核酸である短いアプタマーを付着させた。このアプタマーを含むセンサーを、さまざまな濃度のコルチゾールを含む溶液に浸したところ、溶液中のコルチゾール分子がセンサー表面のアプタマーと結合してセンサーから離脱し、電流が増加した。コルチゾールの濃度を上げると、ピーク電流が増加した。

さらにこのセンサーは、溶液中に他の天然のステロイドホルモンや薬として使われている人工のステロイドホルモンが存在していても、コルチゾールを選択的に検出することができることがわかった。

研究者らは、唾液や血清中のコルチゾール濃度を測定し、体液中のストレス関連バイオマーカーレベルをモニタリングすることで、治療介入やストレス管理に役立てることができるとしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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