インドヤング科学アカデミー(INYAS)は、博士課程に在籍する大学院生の40%以上が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、研究を進めることが出来なかった状況を明らにした。
INYASが2020年10月に実施した調査によると、インドの博士課程の大学院生は、フィールドワークが継続できないことや、研究助成金に遅れや停止が出たことで、研究活動において深刻な影響を受けた。この影響は特に、若い大学院生に顕著だったという。
調査によると、COVID-19の感染流行期間中、研究機関は学生らの収入源となる奨学金の支払いに滞った。2020年3月以降、回答者のほぼ28%は、研究機関からの資金援助を受けらず、14%は部分的にしか受けられなかった。
回答者の54%は、学位の取得前に奨学金を打ち切られ、47%は、奨学金の支給期間が6カ月から1年間はあったものの、期間内に学位を取得することが難しくなった。
こうした状況で、多くの大学院生は、学位論文を提出するために、計画している5年に加えて、少なくとも6カ月間の奨学金の支給延長を求めた。彼らはさらに、インドの政府系研究機関における博士研究員の定員増加と応募のための年齢制限の緩和を希望した。
INYASのメンバーであるシャッド・ファティマ (Nishad Fathima) 氏は年齢制限の緩和について、「博士研究員の応募だけでなく、任期の定めのない仕事に就くまでのエントリーレベルのポジションの応募にとっても重要だ」と話した。
INYASは、今回の調査結果と勧告を取りまとめ、国内の主要な科学諮問委員会と共有している。また、大学院生の声は、資金提供者をはじめ、科学技術庁、科学技術研究委員会、バイオテクノロジー庁へ届けられることになっている。
この記事は、科学誌 nature india が2021年12月8日に紹介した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部