インドのモディ首相が第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で発表した内容を順守するために、同国のDST(科学技術庁)は非化石燃料エネルギーを増加し、2030年までに再生可能エネルギーが全エネルギーの半分にし、炭素排出量を削減して2070年までにカーボンニュートラルを達成する目標を明らかにした。2021年12月21日、インド全土の科学者向けの気候変動ウェビナーで公表した。
DSTのアキレシュ・グプタ(Akhilesh Gupta)氏は次のように述べた。
「インドは電気自動車(EV)やグリーン水素エネルギーに関するいくつかの主要なイニシアチブを進めており、すでに再生可能エネルギーは全エネルギーの40%のシェアを達成しているので、2030年までにそれを50%にすることは可能である」
「2030年までにインドは二酸化炭素(CO2)排出量を22%削減する必要があるが、国家の最大の課題は2070年までにカーボンニュートラルを達成することである。そのためには再生可能エネルギー生産のスケールアップが必要であり、それにより石炭の使用量を大幅に削減する必要がある。また、原油の消費量は2050年までにピークに達し、2050年から2070年の間に大幅に減少する必要がある」
また、同氏は、都市化問題は新しい地球規模の変化であり、都市の温度は地球規模の変化よりも摂氏3〜4度高くなる可能性があると述べた。
最近の研究では大都市の降雨量が人口密度と密接に関連していることを示しており、地球規模での温室効果ガスの増加と地域レベルでの土地利用の変化の複合的要素が都市の気候変動に影響を与える重要な人為的要因となっている。DSTは気候モデリング、都市気候、ヒマラヤの生態系の研究等を今後5年間推進するという。
DSTが実施した州別の気候変動脆弱性ランキングによると、脆弱な州はオリッサ、アッサム、ビハール、ア西ベンガル等であり、州の貧困度と脆弱性には直接的な関係がある。グプタ氏は、気候に起因するリスク指標を特定する評価に加えて、地域レベルでの気候変動リスク評価の必要性を強調し、「このリスク評価は適応戦略の開発に役立ち、災害管理にも役立つ」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部