インド「国家科学デー」(2月28日)の2022年のテーマとして、同国のジテンドラ・シン(Jitendra Singh)科学技術相は1月5日、「持続可能な未来のための科学技術における4つの統合されたアプローチ」とすることを発表した。
同相は「モディ首相が世界の舞台で主導的な役割を果たすことを提案したように、縦割りの弊害から抜け出すのに役立つ」とし、「パンデミック危機に際して、すべての省庁が協力して人類の存続のために活動しており、今がこの統合的アプローチを推進するのに最適な時期である」と述べた。
4つのアプローチとは、以下の通り。
ジテンドラ・シン科学技術相 (右から2人目)
インドは1986年に、2月28日を国家科学デーに制定した。この日は、1930年にアジア人として初となる自然科学分野でのノーベル賞を受賞したサーC.V.ラマンが「ラマン効果」の発見を発表した日で、その日を記念して国家科学デーとした。国家科学デーには毎年、科学技術をテーマにサイエンスコミュニケーション活動がインド全国で実施されている。多くの研究機関は研究室を開放し、研究室や教育機関でのキャリア機会について学生の可能性を見極めている。
インド科学技術庁(DST)は、国家科学デーの祝賀行事等を支援するための中核機関として資金供与も含めて機能する。
また、DSTは、科学技術のコミュニケーションと普及の分野における卓越した取り組みを刺激、奨励、認識し、大衆に科学的気質・精神の浸透のために、1987年に国家科学普及賞を創設した。この賞は、AWSAR賞(※2)や、DST傘下の科学技術研究委員会(SERB)による優秀女性研究者賞(Women Excellence Award)とともに、国家科学デーの日に表彰される。
(※1) Jal Shakthi:従来の水資源・河川開発・ガンジス川再生省と飲料水・公衆衛生省を統合し、ジャル・シャクティ(Jal Shakti)省が新設された。ジャル・シャクティとは、ヒンディー語で「水の力」を意味し、同省は水資源の開発や規制に向けた政策やプログラムの策定などを所管する。
(※2) AWSAR(Augmenting Writing Skills for Articulating Research)賞: インドの科学技術研究の現状を般の人にわかりやすく興味深い形式/書式で大衆に周知することを目的としたDSTのイニシアチブ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部