インド工科大学マドラス校(IIT-M)の学生が、地下水を定期的に監視し、その情報を当局だけでなく、地域社会にも効果的に伝えるために設計されたAI-IoT(人工知能-モノのインターネット) プラットフォーム「Saaf Water」を開発した。そのきっかけは、母親が汚染水を原因とする病気になったことだった。2022年1月7日付発表。
IIT-M でオンライン学位プログラムを学ぶデータサイエンスの学生、フリシケシュ・バンダリ(Hrishikesh Bhandari)さんの母親が、カルナータカ州ウッタラカンナダ村の公共のポンプから供給された地下水を、汚染水とは知らずに飲み、重篤な症状に陥った。2020年12月のことだ。
インドの他の地域でも同じような水質汚染の事例が起きているかもしれないと懸念したフリシケシュさんは、同期のサタム・プラカシュ(Satyam Prakash)さんに連絡を取った。2人はこの問題について話し合い、水質や適切な浄化方法を知らないこと、水源の劣化について頻繁にモニタリングを行った。その結果、汚染があってもその情報を発信できないことが大きな課題であると確認した。
そこで彼らは、地下水を定期的に監視するだけでなく、劣化状況や改善のための浄化方法をコミュニティに知らせるAI-IoTプラットフォーム「Saaf water」を開発した。ヒンディー語でSaafはきれいな水という意味だ。このシステムにより、地下水を定期的に監視し、その情報を当局だけでなく、地域社会にも効果的に伝えることができる。
「Saafのようなシステムを導入すれば、水質の悪化や適切な浄化方法を事前に知らせることができるため、死亡事故を回避し、迅速な行動を促すことができる。私たちのプラットフォームは、2〜5分で汚染の可能性を推定できる。世界の人口の3分の1は安全な飲み水を手に入れることができないので、Saafを世界中の困っている地域に広げて、未解決の水質汚染問題を解決するつもりだ」とフリシケシュさんは意気込む。
Team Saafには他の教育機関からプログラミング、ビジネス開発、イノベーションなどの異なるスキルを持つ仲間が参画している。今後、様々なフィールドテストとフルイエッジデプロイメントを経て、間もなく製品を市場に投入する。製品の発売については、ウェブサイトやソーシャルメディアで紹介予定という。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部