インドのジテンドラ・シン科学技術相は3月11日、インドとカナダの間の科学技術活動のために二国間センターを設立すると発表した。インドはすでに米国、ドイツ、フランスなどの国々と二国間センターを設立している。
カナダのメアリー・エング(Mary Ng)国際貿易・輸出促進・中小企業・経済開発相が率いる代表団と二国間科学技術プロジェクトを議論した。
インド・カナダの会談の様子
カナダのメアリー・エング大臣(右)と握手を交わす、インドのジテンドラ・シン大臣
両国は、グリーンテクノロジー、先端工学、製造、農業、食品技術、デジタルトランスフォーメーション、省エネ、ヘルスケアなどの分野で提案されているコラボレーション分野を特定し、協力のための可能な条件を最終決定するために議論を進めている。
会談でインド側は、将来の経済は質の高い研究と革新を前提としており、インドが推進している「海洋ミッション」(Ocean and Sea Missions)のような未開発分野・地域の利用をカナダ側に呼びかけた。
両国は、2つの了解覚書(MoU)の更新について、2022年5月に開催される合同委員会で署名する予定。
MoUの一つは、カナダ国立科学工学研究センター(NSERC)に関連するプロジェクトベースのもので、社会に直接関連する基礎科学と応用科学の人材育成に伴う科学交流プログラムである。
もう一つは、カナダ国立研究評議会(NRC)に関連しており、産業研究開発プロジェクトに基づく科学的コラボレーションで、双方の産業が共同でプロトタイプを開発し、商品化するもの。プロジェクトへの資金提供は、双方の業界と政府によって実施された。産業界からの資金は、ロイヤリティとして返却された。
インド側は、カナダ健康研究所(CIHR)、カナダ国立研究評議会(NRC)、Canmet ENERGYなど、カナダのR&D機関との研究協力を発展させることや、より多くの青少年交換プログラム、主要な研究分野における共同スタートアップを呼びかけた。
インドの国立南極海洋研究センター(NCPOR)が2020-21年にカナダの北極圏海洋研究ステーションCHARSで観測研究を開始する予定であったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のために実施できなかった。
NCPORは、北極圏の陸域、淡水域、沿岸の海洋環境を網羅する以下のような活動に参加する。
また、北極圏の生物(菌類、植物、動物)の包括的なDNA参照ライブラリを構築し、環境モニタリングの基盤を提供することも計画中だ。
インド科学技術庁(DST)は、カナダとの産業R&Dプロジェクトもサポートしており、産業研究開発のために合計10件のプロジェクトが支援されている。バイオ手技術庁(DBT)からは、「健康のための水」(Water for Health)、「携帯診療分析器」(Portable Diagnostics&Analyzers)、「廃棄物からの富の創造」(Creating Wealth from Waste)の分野で、インド・カナダのコミュニティ変革と持続可能性を加速する革新的・学際的パートナーシップ(India-Canada Centre for Innovative Multidisciplinary Partnerships to Accelerate Community Transformation and Sustainability :IC-IMPACTS)と共働で3つの共同提案募集が開始された。
IC-IMPACTSの下で、2015年以降、安全で持続可能なインフラストラクチャ、省エネと統合水管理、居住者の改善の分野で共働研究が実施され、スマートシティのグリーンビルディングをサポートするための構造工学、材料科学、サイバーフィジカル(CP)インターフェースやCPシステムの革新を活用火災時の建物の持続可能性など20のプロジェクトが両国により支援されてきた。
カナダのメアリー・エング氏は、応用研究モードを通じて、バイオテクノロジー、再生エネルギー、気候変動などの分野で協力を深めたいと表明した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部