インド工科大学マドラス校(IIT-M)は2月21日、同校の研究者らが家電製品の主要部品であるシリコン光検出器に代わるナノワイヤー光検出器を開発したと発表した。今後、ナノフォトニクス分野における単一光子検出のほか、より高速な光検出への応用に向けたナノワイヤートランジスタの研究の進展が期待される。
光検出器は、暗視装置、カメラ、光学分光システム、光通信から、自動ドア開閉システム、バーコードリーダー、インテリジェント照明システムなどの日常家電に至るまで、さまざまな用途で使用されている。
研究を率いた物理学科ソムナス・C・ロイ(Somnath C Roy) 教授は「一般的な酸化物材料から作ることができるこのデバイスは、非常に安定で汎用性が高く、独自のコアシェル型ナノ構造ベースの設計により、幅広い光のスペクトルに対して優れた応答性を実現していることを実証した」と話す。
ナノワイヤーという形状をとることは、光の検出に効果的である。今回、IIT-Mで開発されたナノワイヤーは、直径が人間の髪の毛の1000分の1程度しかないため、表面積と体積の比率が高く、トランジスタのチャネル長が短い。これにより、同じ材料から作られた大きなバルク光検出器よりも感度が高くなる。
今回、IIT-Mで開発された複数種類のナノワイヤーを組み合わせることで、人体組織に有害な紫外線と可視光を識別することもできる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部