2022年04月
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独・米・英と医学・保健学分野等で協力 インド医学研究評議会(ICMR)

インド政府は2022年3月9日、モディ首相を議長とする連邦内閣が、インド医学研究評議会(Indian Council of Medical Research: ICMR)とドイツ、米国、英国の各機関間で締結した了解覚書(MoU)を承認したことを発表した。

1)ドイツ研究振興財団(DFG)(ドイツ)とのMoU

目的:

毒性学、顧みられない病気(熱帯病)、希少疾病、その他相互に関心のある分野を含む医学・保健学研究分野での協力。科学研究および技術開発における協力には、科学研究プロジェクトへの共同出資、研究者の交流、高い科学水準を有し科学の進歩に有益な共同セミナー、シンポジウム、ワークショップへの出資、科学的見地からの意義付けが含まれる。

2)米国「保健福祉省」傘下の国立衛生研究所アレルギー・感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases)、国立衛生研究所(National Institute of Health)とのMoU

目的:

協力は、主にインドのチェンナイにあるICMRの国立結核研究所(NIRT)において、熱帯感染症およびアレルギー疾患の予防、診断、治療のための技術を中心に、基礎、トランスレーション、応用革新研究、疫学、医学、分子生物学、医療昆虫学、寄生虫学、免疫学、医学、微生物学、ウイルス学などの科学分野において行われるものとする。

結核、寄生虫感染症、HIV/AIDS、アレルギー性疾患、免疫系疾患、その他の新興・再興感染症、その他科学的に関心のある疾患を中心に共同研究を行う。

財政的な影響:

米国政府およびインド共和国政府は、資源の利用可能性に応じて、本 MoU の下での活動に対して資金援助を行うことができる。両当事者は、個々のプロジェクトを支援するために、必要に応じて、政府、非政府、民間企業、財団、その他の資金源に追加資金と積極的な参加を求めることができる。両当事者は、共同で承認された共同研究プロジェクト及び関連活動の個々の承認された予算に基づき、資金を支出することができる。

このMoUに基づくすべての活動は、各当事者の国で普及している適用法、規制、手続き、政策、ガイドラインに従って行われるものとし、人材、資源、充当資金の利用可能性に左右されるものとする。

雇用の創出:

ICERプログラムから生まれる共同研究プロジェクトのもとで、インドの科学者・研究者・学生を、適用される規則に従って契約・プロジェクト方式で雇用することは、結核やその他の疾病の分野における様々な技術・技能の習得や能力開発に役立つと思われる。

背景:

2003年、チェンナイに国際研究センター(International Center for Excellence in Research: ICER)を設立するための共同声明が米国とインドで結ばれた。それは2008年に延長され、2017年に再度更新され、今回MoUとして更新された。ICERはチェンナイにあり、NIAIDとICMRの国立結核研究所(NIRT)のパートナーシップで成り立っている。この協力関係は、13以上の臨床プロトコルをサポートし、蠕虫感染の免疫学に関する精緻な理解を深めることに貢献し、結核に対する免疫反応に及ぼす糖尿病の影響を精緻化し、栄養不良と結核を理解するためのいくつかの研究を行い、蠕虫感染、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)血清陽性の免疫反応への影響を調べるためのパイロットスタディを開始するなど、様々な成果を上げている。

3)オックスフォード大学(英国)とのMoU

目的:

インドの科学者や研究者の能力開発、国際基準や規制要件に準拠したデータの収集、公平性と主権の原則に従って自国資金での能力開発の地域ハブになるためのインドの開発、ICMRで成果を達成するための感染症データ観測所(Infectious Diseases Data Observatory: IDDO) 事務局の時間制限付きの共同資金調達とプール、公平性と透明性を備えたデータとスキル共有にとどまらないパートナーシップの構築など。 両当事者は、撲滅段階にある3つの媒介性疾患(マラリア、内臓リーシュマニア症、フィラリア症)および新興感染症について意見交換し共有すること、データ管理、データ文書化、データ共有、公平なガバナンス枠組みの開発に関するベストプラクティスを支援し開発すること、および、研究プログラムでの協力の機会を探り、能力強化、研究員の交流、データ管理および統計解析に関するトレーニングに関する3年間のワークプランを策定することに合意している。

財政的な影響:

両当事者は、本覚書により想定される協力に関連する費用をそれぞれ負担するものとする。両当事者がその後、このMoUによって想定される活動の要素のための資金を確保し、その資金の一部が他の当事者に渡ることを意図している場合、問題の活動を管理するための追加契約が締結される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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